田辺市議会 2010-09-21
平成22年 9月定例会(第4号 9月21日)
農業振興課長 那 須 久 男 君
梅振興室長 愛 須 誠 君
森林局長 原 﨑 喜 一 君
建設部長 長 嶝 義 雄 君
建築部理事 森 本 博 史 君
都市整備課参事 桶 本 伊知郎 君
本宮行政局長 山 本 幾 生 君
龍神行政局総務課長 古久保 敏 雄 君
龍神行政局住民福祉課長
松 本 淳 君
中辺路行政局産業建設課長
久田里 敏 行 君
大塔行政局産業建設課長
松 本 光 生 君
本宮行政局産業建設課参事
鳥 居 泰 治 君
消防長 岩 本 徳 三 君
予防課長 浦 辺 俊 次 君
教育次長 濵 田 和 男 君
学校教育課長 廣 田 敬 則 君
文化振興課長 平 田 耕 一 君
大塔教育事務所長 岩 本 十 一 君
本宮教育事務所長 関 隆 生 君
水道部長 中 村 全 文 君
簡易水道課長 前 川 敏 弘 君
──────────────────
〇
出席事務局職員
議会事務局長 中 瀬 政 男
議会事務局次長 岩 本 さち代
議会事務局主任 前 溝 浩 志
議会事務局主査 松 本 誠 啓
議会事務局主査 坂 本 明 人
開 議
○議長(
宮田政敏君) 定足数がありますので、ただいまからお手元に配付の日程により、平成22年第3回
田辺市議会定例会4日目の会議を開きます。
(午前10時00分)
◎報告
○議長(
宮田政敏君) 22番、吉田克己君から欠席の届け出があります。
それでは、日程に入ります。
◎日程第1
一般質問
○議長(
宮田政敏君) 日程第1
一般質問を行います。
23番、
久保隆一君の登壇を許可いたします。
(23番
久保隆一君 登壇)
○23番(
久保隆一君) 23番、くまのクラブの
久保隆一です。通告に従い、
鳥獣害防止対策について順次
一般質問をさせていただきます。
平成21年の9月議会において、
安達幸治議員から、また今議会において高垣議員からも同じような趣旨の発言をされておりますが、重ねての発言になりますが、お許しを願いたいと思います。
私ごとにはなりますが、私の自宅は国道168号線に面しており、車の通行量が大変多いところでございます。車が多く通る中でも獣害の被害が大変多く、収穫前になると庭の小さな畑にサルが出没し、人の気配を感じるとナスやキュウリを手に抱えて山に逃げ込む姿をよく見かけます。また、カキの実が熟す季節になりますが、わずか1本の木に大量のサルが群がり、知らないうちにカキの実がなくなっているのが現状であります。
私たちも花火を使って追い払うわけですが、サルは私たちをにらみつけて山の中へ入っていく。そのような現状でなすすべがありません。夜になるとイノシシやシカが徘徊し、裏の山では大きな穴を掘るなどするために、雨降りには地滑りなどが起きないかと心配することが多くなります。
国道に面した場所においてこのような状況ですから、山間地にある集落にとって、大変な状況になっていることがよくわかるかと思います。多少
経済的余裕のある方は、畑に金網のおりをつくり、その中で野菜をつくっているのが現状で、動物と人間がまさに入れかわっているのが実態です。
おりを作成できる方は一部の方で、大半の方はそれもできず、畑に出て農作業をする意欲がなくなった。そんな声をよく耳にします。お年寄りの楽しみの場所が奪われつつあるのが実態です。今後、放置された田畑がふえてくることが予測されます。
先日ある地区の懇談会の席上、こんな話が出ていました。獣害の被害がこれだけ多くなり、個体が大変ふえてきた状況の中で、防護さくを張りめぐらせたり、わなを仕掛けたり、銃で撃つことについても限界にきているのではないか。ここまで来たら知事から自衛隊に出動要請をしてもらい、隊員が山に入り、機関銃で一斉に駆除してもらう、そんな以外に方法はないのではないか。そんな話をされている方がいます。冗談とも本気ともとれる発言であります。本人は、本当に大変な状況ですよということを言いたかったのだと思います。
なぜこのような被害が多く発生することになったのでしょうか。原因はサルやシカ、イノシシの住みやすい環境が長い時間をかけてでき上がってきたのだと思います。
国の政策により、雑木林を杉やヒノキに林種の転換を行い、
ドングリ等のえさが山になくなり、動物が里に出てくるようになったこと。過疎により人口が減少し、獣害に対する圧がなくなったこと。昭和35年ごろからの
高度経済成長期には農山村から都市へと人口の移動が始まり、
過疎化現象が始まりました。多くの方々が都会へと引っ越していき、その際家の裏まで杉やヒノキを植林して引っ越されたため、50年程度たった今、大きく木は成長し、山と集落とが隣接することになり、山と民家への境界がなくなってきたこと。これまで野生動物は植物環境が悪く、生まれた子供がすべて成長することはなく、自然淘汰され、バランスが保たれてきたと言われています。現在は、人家に近づき、食物を簡単に手に入れることができ、栄養状態がよくなり、生まれた子供はすべて成長し、急激に個体数がふえています。
シカにおいては、和歌山県の適正な個体数は8,700頭と言われていますが、現在3万頭近くの数が生息していると言われています。恐らくほかのイノシシやサルにおいても、適正頭数の3倍ぐらいの数が生息していると思われます。高齢化や制度上、免許を取得しにくい状況があり、狩猟者が減少していること。また
公共事業の中の法面工事の際、樹脂吹きつけが多く、シカにとって格好のえさ場になっているのも事実です。
以上、申し上げましたほかにも多くの原因はあろうかと思いますが、国の政策によって、引き起こされた要因が多くあるように思います。現状において、個人で対処できる段階は過ぎており、国や県、市町村の責任において対応していかなければいけない時期に来ているのではないかと考えます。
そこで幾つかの項目について質問をさせていただきます。
22年度
市単独事業、
農作物鳥獣害補助金について質問をさせていただきます。
今回の制度改正によって、旧田辺地域にも拡大され、
補助対象地域に含まれることになりました。合併時の経過として、合併時旧4カ町村は、
野生鳥獣の多い山間部ということで、合併前の町村が実施してきた事業を引き続き町村部で継続することになったが、旧田辺市においては、旧4カ町村と比較して、市外に近いことや農業の生産性が高く、農家の投資も可能であること。さらに旧田辺市まで拡大することは莫大な費用も要するおそれもあることなどを理由に、4カ町村のみに限定的に実施することになっていました。
現状においては、新庄町や芳養町の海岸線近く、また多くの地域において
野生鳥獣による
農作物被害が確認されるようになりました。また梅価格の下落等により、農業経営が厳しい状況であることから、旧田辺市においても実施できないかとの問い合わせや要望が多くなり、旧田辺市においても実施することになったと聞いております。実施については、当然なことだと思います。
しかし、予算の規模は、平成21年度
事業予算は、400万円でありました。平成22年度当初予算は、500万円計上されています。一般的には順調な予算の伸びに見えますが、実際に21年度中、旧4カ町村で使われました補助総額は、567万5,000円となっており、既に4カ町村で補助された金額は、本年度予算500万円をはるかにオーバーしています。旧田辺市において、銃器やくくりわなの
捕獲補助金は448万4,000円、中辺路の112万2,000円、大塔の67万8,000円となっております。旧田辺市の
補助金総額が他町村と比較しても、圧倒的に多くなっております。
そうした点から見ても、旧田辺市の被害状況を仄聞することができます。有害駆除の補助状況に比例して、
鳥獣害防止対策も同様に実施件数がふえてくることが想定できます。大幅に予算の不足が生じることは明白であります。このことは当初から想定できていることであり、当初予算の組み方に大きな問題があると考えますが、いかがお考えでしょうか。お聞きいたします。
次に、補助率の問題ですけれども、21年度までは上限40万円、下限4万円と定めておりました。今回の改正により
事業費上限30万円、下限を3万円と変更されました。実際事業費の半額補助となりますから、実質20万円の個人負担をされる方が少ないとの話を聞きますが、県の事業から外された申請者の受け皿として、この金額は残しておくほうがいいのではないかと考えます。
また、下限については、多くの方が利用できること。また簡易な防護さくについても、対象になることからよいことだと考えています。上限の部分について、補助基準の見直しをお願いするとともに、現在の社会状況から見て、
農作物鳥獣害防止対策事業が、前年より大きく後退したと感じますが、当局の考え方をお聞きしたいと思います。
次に、猟期中もシカの捕獲に対して補助金の交付を行うことはできないでしょうか。今回は、シカを取り上げて質問させていただきます。さきに申し上げましたが、シカの個体数が3倍近くにふえています。県もこの事態を注視し、シカのこれまでの狩猟制限を撤廃し、メスジカの捕獲ができるようになりました。
しかし、現実問題、夏場や秋口のシカをとることについて、敬遠をされる猟友会の方も多くおられると聞いております。現実問題、シカの個体数を減らすことが作物被害を防ぐ抜本的な問題であります。1年間を通して
有害鳥獣駆除のための補助金を出すことによって、シカの捕獲数は多くなり、確実に個体数が減ることは明白であり、
有害鳥獣駆除に大きく貢献できるものと考えますが、いかがお考えでしょうか。
次に、猟友会の方々を雇用して、捕獲活動に当たってもらうことはできないでしょうか。収穫期や夏場は、猟に出かけるには大変な季節であります。特に、休猟期中、有害駆除をお願いいたしましても、
引き受け手が少なく困っているのが実情ではないかと考えます。
猟に行かない理由の一つとして、犬が動かない。それゆえに捕獲できないことが多く上げられます。また、猟師も高齢化の中で、体力的にも大変な作業となります。当然、捕獲されない場合は補助金の対象になりません。それらを保障する上においても、有給にて捕獲隊を確保すること。また捕獲することができなくても、追い払うことは動物に圧をかけると意味からしても、大きな意義があると思いますが、田辺市としての考え方をお聞きします。
次に、シカやイノシシの
食品加工所の建設がおくれていますが、これまでの経過についてお聞きしたいと思います。
21年9月議会、また今議会において他の議員も質問されていますが、市当局からは前向きな答弁をしたと受けとめております。しかし、現実的に、事業が進んでいないのが実態のように思われます。既に他の町村においては実施されているところが12カ所にものぼっていると聞いています。田辺市が思案をしている間に、他町村に大きく水をあけられた感じがいたします。日高川町
有害鳥獣食肉処理加工施設が、
農林水産省鳥獣害防止総合対策事業、和歌山県ジビエで
地域おこし事業、
地域活性化経済危機対策臨時交付金により建設をされました。建設に当たっては、施設の管理、運営体制の整備等、大きな課題がありますが、これまでの田辺市としての取り組みの現況と今後の方針について、改めてお聞きしたいと思います。
次に、
鳥獣害対策の一環として、
わな猟免許、狩猟免許の
免許取得者の確保のために、市としての独自な対策についてお聞きします。和歌山県は
鳥獣害防止の一環として、
わな猟免許取得者、
銃猟免許等の
免許所持者をふやすための対策が必要と考えており、現在、猟友会等の関係団体の皆様から人材の確保について意見を伺っているところと聞きます。今後はそれらの意見を集約し、
鳥獣害対策に反映していきたいとの方針であると聞いております。
また、印南町においては、
猟銃免許取得に対し、経費を全額負担し、猟銃購入の際には、半額負担など思い切った施策の展開を行っているところであります。町としては、
鳥獣害被害は今後より深刻化することが予想されますので、将来に向けて免許の所持者を養成していくと判断したとのコメントを出しております。各自治体において被害の深刻化を懸念して、独自の取り組みを強化しているところでありますが、捕獲の面において特に有効な手段は、わなによる捕獲と言われています。
今回は、わなのことについてお聞きしたいと思いますが、旧田辺市において、21年度
捕獲頭数が352頭、わなによる
捕獲頭数が204頭とわなによる捕獲が圧倒的に多くなっております。しかし、経費面でも設置に多額の費用を要すると聞いております。例えば、一番安いわなを使いますと、5,500円ぐらいかかると言われ、それも1回の使用で廃棄しなければなりません。
県単独事業、
農作物鳥獣害対策強化事業の中に、
わな設置支援事業、補助率2分の1の制度がありますが、現在の田辺市の活用状況をお聞きしたいと思います。また、
わな免許取得に当たり、
狩猟免許取得支援事業の制度を利用しての活用状況をお聞きしたいと思います。
また、
猟銃免許取得、
猟銃購入費の補助に印南町は公費を補助しています。現在、多くの制度が創設されようとしていますが、制度を利用しながら田辺市としても、新たな施策を考えていかなければならない時期に来ているのではないかと思います。田辺市として今後の取り組みについての考え方をお聞きしたいと思います。
これで1回目の質問を終わります。
(23番
久保隆一君 降壇)
○議長(
宮田政敏君) 23番、
久保隆一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
市長、
真砂充敏君。
(市長
真砂充敏君 登壇)
○市長(
真砂充敏君) 久保議員から、
鳥獣害対策について御質問いただきました。田辺市の
鳥獣害対策に対する考え方については私から、あとは担当部長からお答えいたします。
御承知のとおり、
野生鳥獣による
農作物被害については、依然として全国的に深刻な課題となっており、田辺市も例外ではなく、被害金額、被害件数、また
捕獲頭数についても高い数値で推移しているところです。
田辺市では、
鳥獣害対策として、被害農家が設置する
防護さく等の資材費に補助金を行う
鳥獣害防止対策事業費補助金と個体数を抑制し、被害を抑えるための捕獲に対して奨励を行う
有害鳥獣捕獲事業費補助金を交付しております。
鳥獣害防止対策事業の補助実績については、平成19年度は408万2,000円、平成20年度は486万7,000円、平成21年度は567万5,000円と年々増加傾向にあり、これは農家が自分の農地は自分で守るという意識が浸透し、有効に活用されているものと考えております。
なお、
鳥獣害防止対策事業は、平成21年度までは四つの行政局管内のみで実施しておりましたが、田辺地域でも被害が増加していること、被害をもたらす鳥獣が市街地にまで出没していることから、平成22年度からは全市域に対象範囲を拡大しているところであります。
また、
鳥獣害防止対策には、県の単独事業もございまして、
防護さく等の資材費に対し、県が3分の1、田辺市が3分の1の補助を行いますので、事業費が大きくなる梅畑、ミカン畑等の広い園地については農家負担が有利となる県の単独事業を活用することを進めておりまして、
県単独事業と
市単独事業との併用で
鳥獣害防止に取り組んでおります。
一方、有害捕獲と狩猟捕獲をあわせたイノシシ、シカ、サル、アライグマの捕獲合計数を見てみますと、平成19年度は2,452頭、平成20年度は2,505頭、平成21年度は2,428頭と毎年同等数程度捕獲しておりますが、被害の減少は見られない状況であります。そのような中、県においては今年度より狩猟期のメスジカの
捕獲頭数の制限を解除するとしておりまして、狩猟捕獲による個体数の抑制及び
農作物被害の減少に期待しているところであります。
田辺市独自の対策と考え方としましては、先ほど申し上げました防止対策事業と捕獲補助事業に加え、イノシシ、シカ、アライグマの捕獲おりを購入し、狩猟者等に貸与しているほか、有害で捕獲した鳥獣の有効活用と捕獲意欲を喚起することを目的に、ジビエ料理の研究や食肉処理施設の検討を行っているところであります。
このほか、これまでにイノシシ、シカを捕獲するためのくくりわなの直径の制限解除や1日のメスジカ
捕獲頭数の制限解除、有害鳥獣捕獲許可権限の市への委譲など、県に対し要望を行い、実現されてきたところであります。
また、市議会議員、猟友会、県、JAの協力のもと、田辺市
鳥獣害対策協議会を組織し、捕獲された鳥獣の調査研究や有効な捕獲おりの実証実験、
鳥獣害防止に関する講演会の開催による啓発活動等にも取り組んでいるところであります。
このように、田辺市としましては、これまでも
鳥獣害対策には積極的に取り組んでおり、特にアライグマの捕獲にかかるJAとの協力体制につきましては、全国的にも進んでいるものと考えております。
いずれにいたしましても、鳥獣被害の増加は農家の農業生産意欲の衰退、耕作放棄地の増加につながるなど、深刻な問題であることは十分認識しておりまして、今後におきましても先進地における取り組みや県、周辺市町村と連携した広域的な対応策など、有効な手法を研究し、取り組んでまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(市長
真砂充敏君 降壇)
○議長(
宮田政敏君) 産業部長、福井量規君。
(産業部長 福井量規君 登壇)
○産業部長(福井量規君) 久保議員から御質問をいただきました。
鳥獣害防止対策事業費補助金、
有害鳥獣捕獲事業費補助金についてお答えをいたします。
まず田辺市
鳥獣害防止対策事業は、先ほど市長からも説明いたしましたとおり、平成22年度から田辺地域を含む田辺市全域を対象としておりまして、補助対象事業費は3万円以上30万までとし、補助率は50%、予算は500万円を計上しております。
本年度は、田辺地域も対象地域としたことを周知する必要があることから、公募方式をとり、5月から6月にかけて広報田辺や新聞等で募集したところ、8月末現在で、田辺地域で36万9,000円、龍神地域で118万5,000円、中辺路地域で93万9,000円、大塔地域で77万9,000円、本宮地域で16万5,000円と合計343万7,000円の補助金の申請があり、現在も随時募集を行っているところであります。
事業費の制限を4万円以上40万円から、3万円以上30万円までに引き下げておりますが、平成21年度の実績では、30万円を超える事業を行った農家は97件中6件と少なく、下限を4万円から3万円に引き下げたほうが小規模で自給的な農家にとって利用しやすくなると考え、引き下げたところであります。
なお、事業費が30万円を超える場合は、農家の負担も多くなることから、負担割合が少ない
県単独事業を勧めているところであります。また、御質問のとおり、田辺地域を事業実施区域に加えることにより、予算が不足することが懸念されますが、田辺地域の場合、梅やミカン畑など、大規模な場合が多いことから農家負担も有利となる県の事業を勧めており、大規模農家は比較的県単事業を活用するといった傾向にあります。
今後におきましても、経費の面だけでなく、効果といった面からもより有効な
鳥獣害防止対策を農家に対し、情報提供するとともに、
市単独事業の予算につきましても、被害状況等を見ながら柔軟に対応してまいりたいと考えております。
次に、
有害鳥獣捕獲事業費補助金についてですが、有害鳥獣であるイノシシ、シカを銃で捕獲した場合には1万円、わなで捕獲した場合は6,000円、サルを銃で捕獲した場合には3万円、わなで捕獲した場合には1万8,000円を補助しております。
次に、猟期中のシカの捕獲に対する補助金についてですが、趣味としての狩猟での捕獲と農作物の被害防止のための捕獲との判別ができない。また、狩猟は県内全域でできるため、捕獲したシカが田辺市内の農地に被害をもたらしているシカかどうかわからないなどの問題があります。加えて、猟期前の夏から秋にかけて
農作物被害が発生した場合、現在は、
捕獲補助金が交付されることから、捕獲意欲を喚起し、捕獲を促すことになりますが、猟期中にも補助金を交付するとした場合には、11月以降の猟犬が働き、狩猟のしやすい猟期中に重点的に捕獲が行われることになり、一番被害が多く、捕獲してほしい時期に出動してくれなくなるといったことが懸念されます。
こうしたことから、猟期中の補助金の交付については、県全体の個体数が減少する被害の時期を問わず、とにかく捕獲数をふやし、個体数を減少させるといった点では、一定有効な手段であると理解できますが、県及び近隣市町と連携しながら、慎重に検討しなければならないものと考えております。
次に、猟友会員を雇用して、捕獲活動に当たってはどうかということについてでありますが、近年、猟銃による事故や事件による社会的不安、昨年の銃刀法改正、また免許の取得や狩猟登録に係る費用負担など、銃を使用する狩猟者にとっては厳しい環境が続いており、十分な狩猟者数を確保することは今後ますます困難になると予測しております。田辺市においても銃を取り扱う第1種免許の登録が、猟友会会員の高齢化といったこともあり、平成10年から減少の一途をたどっております。
こうしたことから、国においては、新たな捕獲隊の確保策にも支援を講じており、市町村や農業関連団体の職員が銃による狩猟免許を取得し、捕獲隊を結成するといった動きも出ているところであります。捕獲隊員を雇用するということについては、市と猟友会との関係、雇用する場合の身分保障や選定方法など、まだまだ課題も多くあることから、先進地の事例を参考にしながら、重要な課題として研究してまいりたいと考えております。
また、最近では、集落で農家を中心に追い払い隊といったものを結成し、地域ぐるみで
野生鳥獣を追い払う活動も行われており、特にサルには追い払いが有効であるとの話もありますので、捕獲だけに頼るのではなく、サルを見かけたら追い払うという方法の啓発も行い、捕獲と追い払い、狩猟者と農家が一体となって
鳥獣害対策に取り組む活動も啓発してまいりたいと考えております。
次に、わなや猟銃等の狩猟免許の取得への支援についてでありますが、田辺市におきましても、高齢化等により銃を取り扱う第1種免許の登録者は減少しているところです。しかしながら、田辺市における猟友会の全体数を見る限り、決して十分であるとは言えませんが、周辺町村に比較して、捕獲隊の編成が困難という状況ではないことから、狩猟免許取得への市独自の支援にまでは至っていないと考えております。
今後も鳥獣による被害の状況を見ながら、捕獲者数の確保、また増強等などに努めてまいりたいと考えております。
次に、食肉加工施設の検討に係る現在の状況についてでありますが、4月と6月にシカ肉のソーセージや生ハムの試食品を作製し、試食会を行い、商品化が可能かどうか、あるいはコスト面はどうかなど、研究しているところであります。
県内の状況については、日高川町がことし5月に食肉処理加工施設を開設しており、7月には現地を視察いたしました。その時点では、日高川町においても処理された鳥獣は数頭と聞いており、近接する道の駅やホテルのレストラン等に販売すると伺っておりますが、今後は、安定供給ができるか、一定の品質を確保できるかなど、安定した運営という点ではまだまだ課題も多いと聞いております。
したがいまして、食肉処理施設に関しましては、どこに設置するのか、施設の管理運営の形態をどうするのか。販売はどうするのかなどの課題が数多くあることから、全国的な成功事例等を研究しながら、進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
(産業部長 福井量規君 降壇)
○議長(
宮田政敏君) 答弁漏れはありませんか。
23番、
久保隆一君。
(23番
久保隆一君 登壇)
○23番(
久保隆一君) 再質問させていただきます。田辺市
鳥獣害防止対策事業について、市長の考え方においても平成19年から21年まで年々増加傾向にあることについて、十分認識をしているとの考えを聞かせていただきました。
また、部長答弁におきましても旧田辺地域を加えることによって、予算が不足することを懸念されており、
市単独事業の予算については、柔軟な対応をしたいとの答弁がありました。一安心したところでございます。
しかし、少なくとも予算執行に当たっては、適切な予算に基づいて執行していくのが正常な形であり、今回のように当初から予算の不足が想定されるような予算組みについては、理解ができにくいところであります。今後しっかり査定をして、予算を組んでいただくことを強く要望しておきます。
次に、猟期中のシカの捕獲に対しての補助金についてでありますが、一定の有効な手段であるとは考えますが、県及び近隣町村と連携しながら検討していきたいとの考え方を示されました。
和歌山県は、狩猟獣でないサルについては、通年補助対象期間としていますが、狩猟獣であるイノシシ、シカについては狩猟期間外、3月16日から10月31日を対象にしており、狩猟期間中の有害捕獲については、補助金の支出はしないとしており、今後とも考えはないようですが、県に対し強く働きかけるとともに、田辺市として本年度中に鳥獣害特別措置法の申請をすると聞いています。田辺市としては、猟期中の補助金の交付の必要性を認めているわけですから、特措法を利用しながら、また新過疎法を活用しながら、独自の施策の実施について考えはないのか、再度お聞きいたしたいと思います。
次に、猟友会員を雇用して捕獲活動に当たらせてはとの答弁として、国においても、新たな捕獲隊の確保策についても、支援を講じており、市としても重要な課題として研究してまいりたいとの答弁があり、光の差した思いがいたします。
また、和歌山県の考え方として、市町村や地域協議会と連携を図り、特措法を活用して生息実態の把握、追い払いや捕獲など総合的に取り組みたい旨の考え方を持っているようですから、田辺市の特措法計画策定に当たっては、これらの考え方を盛り込まれる考えがあるのかないのか、お聞きしたいと思います。
サルの
捕獲補助金の増額については、近隣町村の状況や財政負担等も考慮したいとの答弁がありますが、和歌山県においても捕獲を強化する対策の中で、総合的に検討していきたいとの考えのようですから、田辺市は近隣の町とも十分連携をとりながら進めていただきたいと思います。
以上で2回目の質問を終わります。
(23番
久保隆一君 降壇)
○議長(
宮田政敏君) 23番、
久保隆一君の再質問に対する当局の答弁を求めます。
産業部長、福井量規君。
(産業部長 福井量規君 登壇)
○産業部長(福井量規君) 久保議員の再質問にお答えいたします。
まず最初に、猟期中の
捕獲補助金でございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、個体数を減らすという点では捕獲意欲も高まり、狩猟もしやすいという時期であることから、一定の効果が期待できるものと認識しております。
ただ、幾つかの課題がございまして、そのためには、例えば、1年とか2年と年数を区切って、集中的に実施することや県全体、もくしは広域的に市町村が足並みをそろえて、補助金を交付するなどといったことが必要となります。
したがいまして、
鳥獣害対策に抜本的な対策がない中、メリット、デメリットが考えられるものの、こういった試みも県に要望してまいりたいと考えております。
次に、今後も鳥獣による
農作物被害が減るとはいえない中、今以上に被害が増加する前に、捕獲隊を結成するなどの対応が必要ではないかということでありますが、確かに銃を取り扱う第1種免許の登録者は減少しておりますが、わな免許の登録者数は、10年前に比べて格段の増加となっております。これは自己防衛という意味から、被害農家にわな免許の取得を推奨したことによるもので、これにより現在の捕獲体制が確立し、捕獲数も伸びているものであります。
今後も鳥獣による被害の状況により捕獲者数の確保、または増強などに努めてまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、
野生鳥獣による
農作物被害につきましては、農業の振興を図る上で大変重要な課題であることから、引き続き積極的に取り組んでまいりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(産業部長 福井量規君 降壇)
○議長(
宮田政敏君) 答弁漏れはありませんか。
23番、
久保隆一君。
(23番
久保隆一君 登壇)
○23番(
久保隆一君) 3回目の質問をさせていただきます。
農業や林業に大きな影響を与えている
鳥獣害被害、現在の市街地への出没等を見ていますと、自分の農地は自分で守るという考えを超えた判断が必要ではないか。農業や産業、住民を守るという観点から行政の施策が必要ではないかと考えております。現状では、個人では対応し切れなくなった現況を国や県も認識され、実態を把握されるとともに、新たな制度の実施や検討に入っておられます。
例えば、今年度国においては鳥獣害措置法が制定されました。法律では農林水産大臣が被害防止施策の基本指針を作成し、市町村が
鳥獣害防止計画を作成して、積極的に進めることになっております。具体的には、都道府県にかわり、市が鳥獣の捕獲許可を与えたり、事業を実施するに当たり、地方交付税や補助事業による国からの財源支援もあります。
また、鳥獣被害対策実施隊をつくり、民間の隊員には非常勤公務員としての身分保障をして、狩猟税の軽減などの措置もあるようです。我が田辺市においても、本年度中に計画を策定する見込みと聞いております。また、本年4月より過疎計画が6年間延長されました。新たにこれまでにはなかった過疎対策事業債のソフト事業が拡大されました。画期的なことだと思います。
田辺市の場合は、年間約2億1,900万円当たりの枠が認められているようですが、現在、和歌山県は寄り合い会を設置し、地域の課題やニーズについて話し合っているところであり、田辺市においても三川地区において14日に開催されました。
鳥獣害対策や耕作放棄地の解消等が議題に上ったようですが、県は日常生活を支える集落ごとに実態に沿った対策を進めるとしており、今後の
鳥獣害対策に大きな期待をするものであります。また田辺市においても、過疎計画の事業計画の中に、有害鳥獣捕獲対策として取り組みが掲載されております。
今後、これらの制度の活用をしながら、思い切った政策の実現をお願いいたしまして
一般質問を終わります。ありがとうございました。
(23番
久保隆一君 降壇)
○議長(
宮田政敏君) 以上で、23番、
久保隆一君の
一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(
宮田政敏君) この場合、午前10時55分まで休憩いたします。
(午前10時45分)
―――――――――――――――――――
再 開
○議長(
宮田政敏君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午前10時57分)
○議長(
宮田政敏君) 続いて、19番、陸平輝昭君の登壇を許可いたします。
(19番 陸平輝昭君 登壇)
○19番(陸平輝昭君) 19番、くまのクラブ、陸平です。45分通告しましたけれども、どうも早く終わりそうなんで、なるべく早く終わるように頑張りたいと思います。通告に従いまして、質問をいたしたいと思います。
今回は、景気対策の取り組みについてお伺いをしたいと思います。
市長は、今年度の方針について、3月議会の予算大綱の中で経済について、産業力の強化を強く打ち出して、田辺市の取り組みをるる説明いただいたところですが、市中の様子を見ます限り、なかなか経済の明るさといった点についてよくなってきていないのかなというのが実情ではないでしょうか。
そこで、今回の質問ですが、22年度もこの議会が閉会するころは、もう下半期に入る時期です。市の取り組みにおいて、経済対策、景気対策等についての現状の認識について、まずお聞きしたいと思います。また、下半期に向けた取り組み、今後の対応についてもあわせてお伺いしたいと思います。
次に、産業分野での経済対策になるでしょう、一次、二次産品の販売についてお聞きしたいと思います。
3月議会でも、梅の販売について質問をいたしましたが、この不況下にあって、田辺市の場合、どうしても一次、二次産業の浮揚が景気の回復の起爆になるのではないかと考えます。産業政策課においては、この課題について取り組んでいただいているところですが、特に、販路拡大事業の取り組みについてお聞きします。
首都圏、中部圏、関西圏と各地域において田辺市の商品の販売のルート開拓に生産者、また業者の方ともども大変辛抱をしていただいていると思いますが、ここ数年における取り組みについて、この事業において効果、成果等の分析はできていますか。また今後の取り組み等の計画もあわせてお聞かせいただきたいと思います。
3点目として、異業種の農業参入の取り組みについてお伺いいたします。
近年の農業事情は、特に後継者の不足であったり、先ほど来もありました鳥獣害の被害であったり、小規模農家は離農という選択がやむなしで、その結果、放棄農地が目立ってふえてきたのではないでしょうか。農業の現状の対策は、その空き農地、または農地の利用拡大の推進ではないかと考えます。その一案は、だれでもが農業に参入して広く農業を振興するべきと思います。
本年度、和歌山県の雇用対策事業で、モデル事業が実施されました。この内容は文字どおり法人の農業参入に対して、人件費の一部を補助し、雇用の拡大を図るための実証実験のモデル事業だったようですけれども、現状の田辺市においても農業の対策、雇用対策、放棄農地対策等いろいろな問題解決の対策として、こういった事業の取り組みが必要ではないかと考えます。
このことについて、1回目の質問としたいと思います。大変簡単ですけれども、よろしくお願いいたします。
(19番 陸平輝昭君 降壇)
○議長(
宮田政敏君) 19番、陸平輝昭君の質問に対する当局の答弁を求めます。
市長、
真砂充敏君。
(市長
真砂充敏君 登壇)
○市長(
真砂充敏君) 陸平議員の景気対策の取り組みに関する御質問について、私からお答えをいたします。
一昨年の世界的な金融危機に端を発した世界同時不況を背景に、国内経済についても輸出や生産活動が大幅に減少し、企業では大規模な生産調整が行われるなど、実体経済が急速に悪化し、国民生活にも大きな影響を及ぼしました。
政府は一昨年から事業規模にして、75兆円の景気対策、56兆円の経済危機対策、24兆円の緊急経済対策など、雇用、環境、金融対策などの分野で、経済危機の克服に向けた取り組みを進めてまいりました。
例えば、定額給付金事業もその一つですが、田辺市におきましても、商業協同組合で、プレミアム商品券を発行するなど、市内の消費喚起と地域経済の活性化に寄与する取り組みを進めてまいりました。
また、金融面でも、国の経済対策の一つである緊急保証制度の周知に努め、市内の中小企業者の資金繰りを支援するとともに、田辺市独自の信用保証料補助制度や利子補給制度により、積極的に支援してまいりました。
特に、信用保証料補助制度については、県内では、最も手厚い支援内容となっており、平成20年度では、220件で、5,997万円、平成21年度では、341件で7,225万円の補助を行うなど、中小企業者が融資を受ける際の負担軽減に、大きな役割を果たしているものと考えています。
さらに、雇用面では、同じく国の経済対策の一つである、ふるさと雇用再生特別基金事業、緊急雇用創出事業を積極的に活用し、雇用の創出に努めているところであり、ふるさと雇用再生特別基金事業では、10事業、3年間で事業規模3億円、延べ89人の雇用を創出、また緊急雇用創出事業では、7事業で事業規模1億8,000万円、延べ102人の雇用を創出する計画であります。
こうした取り組みを進める中で、融資実績や有効求人倍率の推移を見てみますと、いずれの指標もやや回復傾向にありますが、今後とも関係機関と連携を図りながら、市内の景気回復に向けた取り組みを継続してまいりたいと考えております。
次に、販路拡大事業の現状と今後の取り組みについて、お答えいたします。
合併後に本市が保有することとなった農林水産物などの地域産品につきましては、広大な市域を背景に、多品種、多品目にわたっており、本市が誇れる大きな魅力の一つとなっております。市では、こうした魅力ある地域産品の商品化や、ブランド化を推進するため、物流取引の構築を目指して取り組んでまいりました。
地域産品を発掘し、商品化、商談、取り引きへと続く体系的な仕組みを構築するため、田辺市地域ブランド推進協議会を母体に、南紀みらい株式会社や田辺周辺広域市町村圏組合とも連携しながら、生産者や事業者への情報提供を継続的に行うとともに、都市部への情報発信や商談会への積極的な参加など、外貨獲得に向けた取り組みを展開しており、地域の実益増にも結びついてきております。
さらに、地域ブランド推進協議会の会員同士の連携が強化され、製造アイテムの異なる事業所が、共同で商談会に参加したり、自社製品以外の取り扱いを積極的に流通させるなど、商品保管や原材料の共同調達も見られているところであります。
また、研修会などで消費者が求める安全、安心などの指向をとらえ、実際の物産展などにおいて消費者の生の声をマーケティングすることで、製品の開発につなげております。
現在は、和歌山県東京事務所や県庁食品流通課と連携し、首都圏や関西の都市部におけるホテル、外食産業への商品提案を展開しており、商談件数も徐々にふえております。
特用林産物や水産物におきましては、量販店と直接取引を展開することで、地域における農家や漁業者の実益が増加しており、今後も、このような官民共同の活動によって、生産者の収入増につなげてまいりたいと考えております。
次に、3点目の異業種の農業参入に対する取り組みについてでありますが、近年、食糧自給率の低下や食の安全、安心への関心が高まっており、加えて低迷する経済状況の中、農業を志す若者も少なくありません。
国においては、農地を最大限に活用するため、昨年度、農地法を改正し、これまでは新たに農業生産法人を設立するか、もしくは特定法人貸付事業を活用し、いわゆるリース方式でないと農地の確保ができなかったものを、一定の要件を満たせば、一般の法人でも農地を貸借することができるようになりました。
こうした中、異業種から農業へ参入する事例も増加しており、一般企業なども含めて、平成21年度9月時点で、全国で414の法人が農業に参入しております。業種別では、建設業が148社と最も多く、続いて、食品会社が79社となっております。参入の経緯を見てみますと、建設業では、耕作放棄地の解消、事業の多角経営化といった理由が多く、食品会社では、有機栽培などによる環境に優しく、安全、安心な食材の安定的な確保や特産品の開発、ブランド化といった理由が見受けられます。
一方で、農業に参入する場合に、まず必要となるのが農地であります。農地の貸し手である農家にとっては、営々と守ってきた農地に対する愛着があり、法人への警戒心も働くなど、法人が思うように優良な農地を確保できないという問題もあります。
また、参入後の経営状況では、農業部門が黒字、もくしはプラスマイナスゼロとなっている割合は、2割程度であるという調査結果が出ており、農業参入から収益を上げるまでの期間が長いこと、天候に左右されること、技術や知識の問題、販路が確保できない、市場価格の変動が激しいなど、経営面での課題も浮き彫りになってきております。
こうしたことから、法人が農業に参入する場合には、地域や農家に対して信頼を得ることや、生産から販売までの事業計画を十分に検討していくことが重要であると考えております。
先日、発表された2010年農林業センサスの速報値では、農業就業人口が5年前に比べて、75万人の減、2,600万人で22%の減少となっております。これは、今まで農業を支えてきた昭和一けた生まれの年代が、農業現場から離脱していることが大きな要因であると分析されていますが、こうしたことからも、新たな担い手の確保が急務であり、法人の農業への参入も必要であると考えております。
市といたしましては、本年度、法人の農業参入の実証試験モデル事業を実施しており、今後、法人が農業への参入を検討する場合、その成果を生かしてまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、異業種からの農業参入については、農業の担い手の確保や耕作放棄地の解消に有効な手段であると認識しており、補助施策や資金融資などの制度の紹介や、安定した農業経営に関する情報提供など、今後とも積極的に支援してまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
数字を間違えたようですので、訂正をさせていただきます。先ほどの農林業センサスの速報値で、農業就業人口が5年前に比べて75万人減の260万人ということです。260万人で、5年前に比べて75万人減っているということで、22%の減少となっているということでございます。
以上でございます。
(市長
真砂充敏君 降壇)
○議長(
宮田政敏君) 答弁漏れはありませんか。
19番、陸平輝昭君。
(19番 陸平輝昭君 登壇)
○19番(陸平輝昭君) 答弁ありがとうございました。何点か、再質問をしたいと思います。
まず、市長、田辺の景気について、いろいろ取り組みをいただきました。これには国政であるとか、県の取り組みであるとかいうことが大きいので、田辺の部分で雇用対策として再生特別基金事業、3年間約3億円で82人であるとか、緊急雇用創出事業1億8,000万円で延べ102人の雇用を創出する計画という答弁、できましたらこの事業について詳しく説明をいただきたい。今、現実に進められているのであれば、どういう程度の成果が上がっているのかというのをまずお聞きしたいと思います。
それから、いわゆる利子補給金でありますとか、プレミアム商品券の補助ということもあります。確かに私も商工会の役員を大塔村でしておりまして、今、政策金融公庫という金融機関があるので、我々田舎のほうも辛うじて若い人が起業をするときに、資金の調達がしやすいということで、これに対する利子補給をいただいているので、随分事業主としては助かっているのだろうと思います。ここで銀行云々は言えませんけれども、この国の政策公庫というものがなかったら、今田辺市の経済の現状はどうなっているのかなと心配するぐらい、市中銀行ではなかなか思うようには貸し出しができていないのが現実ではないかと思います。
それから、次の販路拡大についてお聞きしたいと思います。実は今回の質問を通告して帰って、いろいろ作文を考えておるときに、その日に南紀みらいの東京進出という新聞記事を目にしたのですが、私は今回の最初の通告で、できたらこういう店を出店して、対応をしてもっと量をはかすことはできないかということを質問したかったのですけれども、私自身はそれはしていなかったのが、たまたまこの新聞を見たときに、あっという気がいたしました。特に、南紀みらい、私も実は出資者の一人なんです。だから毎年総会がありまして、ことしは前の開発センターがまちづくり会社と合併して、南紀みらいになりましたので、そのときの公団、いわゆる専務の名前を出していいのか、鎌倉さんが、全く仁王立ちのような状態で、もっと田辺の商品を外貨獲得に売りにいくのには、もし東京であるとか都会でこういうことを指導してくれたら、我々も率先して売りにいきますという、強い決意があった。それぐらい田辺の事業者の中には危機感が出てきているのだろうと思うのです。現在の田辺市の中だけでの消費等々を考えた折に、なかなか経済振興になっていかない。やはり次の対策としては各方面へ売りに出ていって、田辺の商品の販売ということを恐らくその場で強く要請されて、市のほうもだれか出席していたと思うのですが、それぐらい田辺の中小企業の人には危機感が出ているだろうと思うのです。そのことについて、南紀みらいの取り組む事業、東京へ出展する。この具体性といいますか、実現性、これは実際できるものかどうか。ルート開発、開拓も必要ですし、店舗の設置をして、この都市での販売ということを取り組んでいただけるのはかなり効果があるのではないかと思うんですが、このことについての実現性について、まず2点目としてお聞きしたいと思います。
それから、この質問をするについて、担当課といろいろ話をしておりますときに、現在、産業政策課4名で担当されているそうですけれども、かなり人数に制限があって、その対応がしづらいという市長、職員間の話になるのかと思うのですが、やはり質問したときに、もっとやれる方向という要請もありました。この点について、田辺市の取り組む本気度を、田辺の商品の販売、これが田辺の経済の浮揚になるのだろうと思うのですけれども、これに取り組む本気度的なこともあわせて聞きたいと思います。
それから、3点目の農業への参入について、私はこの異業種という表現を使い過ぎたかなと思うのですけれども、できますことならやはり空き農地であるとか、放棄農地の解消にはこの同じ田辺市内でも個人個人が例えば失業しておられるとか、時間が余っておられるというときに、ある程度何人か団体を組んででも、そういったことも含めて取り組みの対応ということをお聞きしたい部分があるんです。
といいますのは、いろんな問題が出てきますけれども、今、放棄農地の問題であるとか、鳥獣害の対策も何回か議会でも質問が出ていると思うのですが、こういうことに対しての一つの大きな取り組みとして、いわゆる今失業なり、雇用につけていない人の対策として、こういう農業への参入ということが必要でないのか、そのときに、県のモデル事業のことをお聞きしましたけれども、やはり市長からも答弁がありましたように、この天候のぐあいであるとか、種をまいても、収穫できる間のこの時間、これは簡単に農業へ手を出したとしても、すぐに収入があるわけではないので、やはりこの点の補てんということを考えた折、県のモデル事業である意味人件費の補助ということになったんだろうと思うのですけれども。こういったことも田辺市として取り組めれば、大変ありがたいのかなと。いわゆるいろんな解消策となるのではないかと思います。
これにつけては、今言いました鳥獣害の対策でありますとか、先日高垣議員の質問にありました、いわゆる農地の貸し借りの仲介に入る田辺市の役割というものも当然また大きくなってくると思うので、こういったことの充実も含めて、対応が必要でないのかなと考えます。このことについては、答弁いただかなくても結構なので、いわゆる最初言いました田辺の対策の具体的な内容と、もう一点、南紀みらい等の取り組みといったことに対する現実性について、答弁いただけたらと思います。
もう一点、市長、もちろん通告にはないのですけれども、今、まさに何度も言いますように、この田辺の経済というのは大変不況であることは間違いない。いわゆる一次産業、二次産業の物流が鈍いためにこういったことになってきているのだろうと思います。このことについて、中身についてはいろいろ南紀みらいの販売であるとか、質問させてもらっているのですけれども、市長の考え、これからの方針として、先ほども言いましたように、市長も含め、我々1期、2期目の1年半経過してきます。あともう2年半ほどになってきます。今後の残りの半年の対策でありますとか、来年度予算編成、またこの議会が済んだころには来年度の予算編成に係ると思うのですが、市長、この中でこういう経済対策、景気対策、こういったことに取り組んでいただきたいし、市長の取り組む姿勢というか、意気込みを聞かせていただきたいと思うのです。
いろいろ経済ということになりますと、全般になってきますけれども、私はまずこの今回質問した農業分野、一次、二次産業の振興というのが大変大きな問題になってくるし、田辺の浮揚対策になるのではないかと思いますので、その点も含めて答弁いただけたらと思います。
これで2回目の質問を終わります。
(19番 陸平輝昭君 降壇)
○議長(
宮田政敏君) 19番、陸平輝昭君の再質問に対する当局の答弁を求めます。
市長、
真砂充敏君。
(市長
真砂充敏君 登壇)
○市長(
真砂充敏君) 再質問にお答えいたします。
先ほども答弁申し上げましたように、田辺市として当地域の経済対策、景気対策、このことについては、むしろほかの地域より積極的にしてきたと考えております。しかし、全体的な国の経済、それからもっと言えば、世界経済、そういう背景がございますから、一地域ですべての経済を回復させるというのは、大変至難であるというふうに思います。ただしかし国のそうした経済対策、そうしたものの事業をできるだけ有効に活用して、精いっぱい地域としての対策をこれからも続けたいと思っております。
特に、先ほど来申し上げました信用保証料の保証制度につきましては、余り大きく見えていませんけれども、これは本当に県下でも突出している事業でございまして、田辺市としては、単独でそのカバーをしているということも一つ御理解をいただきたいと思いますし、これから国のほうではいよいよ新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策ということを考えられているようでございますから、そうしたところを十分活用して、これからも積極的に取り組みたいと思いますので、御理解いただきますようよろしくお願い申し上げます。
ほかの答弁漏れの部分につきましては、担当部長からお答えさせていただきます。
(市長
真砂充敏君 降壇)
○議長(
宮田政敏君) 産業部長、福井量規君。
(産業部長 福井量規君 登壇)
○産業部長(福井量規君) 陸平議員の再質問にお答えいたします。
まず、ふるさと雇用再生特別基金事業等につきましては、市が公共的に必要と考える事業を委託して、失業者を雇用するものでございますけれども、主なものといたしましては、地域コミュニティの向上や地域活性化に資するものとなってございます。
そうしたことから、まずふるさと雇用再生特別基金事業での雇用につきましては、情報通信分野で43人、産業振興分野で12人、農林漁業分野で13人、観光、介護、福祉、環境分野で21人、合わせて89人が雇用されております。
また、緊急雇用創出事業につきましては、産業振興分野で24人、農林水産分野で63人、環境分野で11人、治安、防災分野で4人、合計は102人となっております。販路拡大の取り組みにつきましては、現在、南紀みらい株式会社と連携のもと、首都圏において常設店舗の設置を計画しております。
具体的には、東京の住宅街に隣接する商店街や公設市場での店舗を拠点に、田辺市、並びに周辺地域が保有する梅干しやミカン、干物、梅酒など、毎日消費される食材を中心に、販売する予定でございます。
また、店舗運営に際しましては、東京在住の田辺市出身の方々の御協力を募って、マーケティングや情報発信を行うなど、効果的な運営を計画しております。
平成23年度の経済対策につきましては、現在、国において新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策が9月10日に閣議決定され、新年度における経済、雇用対策を取りまとめています。
市といたしましても、こうした国の施策を踏まえ、ハローワークなど関係機関との連携を密にしながら、雇用対策に対応してまいります。
平成23年度の産業振興への取り組みにつきましては、各課連携のもと、より一層の選択と集中を図り、産業力の強化が具体的な形でお示しできるよう、取り組みを進めてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(産業部長 福井量規君 降壇)
○議長(
宮田政敏君) 答弁漏れはありませんか。
19番、陸平輝昭君。
(19番 陸平輝昭君 登壇)
○19番(陸平輝昭君) ありがとうございました。市長のやる気を聞きたかったですけれども、いわゆる国政の状況を粛々と進めるという、その程度の答弁やったと思います。今の田辺市の危機的状況、やはりリーダーシップをもって何とか引っ張っていただきたいという意思がありました。部長のほうから答弁いただきました、いろいろな田辺市の対策、これは人数を割られたら、200人近い雇用があるのだろうと思うのですけれども、恐らく我々、議会が皆見ても、この200人近い人の雇用をどんなに成果が出ているのかと、それが全く目に見えていないのではないかという気がいたします。
せっかく取り組む延べの事業にして4億、約5億近い費用が投入されて、言葉は全く悪いですけど、これぐらいのものかなというような気がいたします。それよりもやはりいろいろな事業で、これはこういう雇用対策というのは、恐らく1年であるとか、2年であるとかいう期間を切った対策だと思うので、そう言われてみれば、大塔行政局で、支援員として回っている人が、これがそうかなという気がするんですけれども、もう既に1年で、この間、1年経過したので、首ですという話を冗談紛れにしていましたけれども、やはり今いろんな補助の関係もあるんでしょう。しかし、市の単独事業でするのであれば、もっと恒久的な生活の安定につながるような、例えばさっきから言います農業参入、1~2年、いわゆる人件費の補助をしてでも、その農業が定着をして、将来的に生活ができる。こういう対策のほうが効果があるのではないかというので思いますので、今回質問させていただきました。
いろいろ南紀みらいの取り組みについてもこれはまず本当に力を入れて、田辺の消費の流通というものが始まれば、いろいろな部分で活気が出るのではないかと思うんです。今、さっきから言うように、こんなに事業費を入れて、雇用対策をしても、世間では全然レベルアップになっていない。それよりもやはり例えば、大根をつくってでも、それを加工して、漬け物として町へ出しにいく。そういうことで、もし生計が立てられていく方向になれば、そういうことのほうが、いわゆるこういう対策の費用としては、いいのではないかと思いますので、どうぞその点も考えて23年度の対策をいただきたいと思います。
市長にはいろいろな事業を計画して、野菜づくり等々も計画しておられる人もおりますので、いろんな部分、それと市産業部だけではなしに、農協であるとか、普及所であるとか、市場であるとか、いろんな意見をまとめて、今の農業に何が必要かという、それで必要であれば資金を投資するというような対策で取り組んでいただきたいと思います。
これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
(19番 陸平輝昭君 降壇)
○議長(
宮田政敏君) 以上で、19番、陸平輝昭君の
一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(
宮田政敏君) この場合、午後1時まで休憩いたします。
(午前11時33分)
―――――――――――――――――――
再 開
○議長(副議長 小川浩樹君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 1時00分)
○議長(副議長 小川浩樹君) 続いて、3番、久保浩二君の登壇を許可いたします。
(3番 久保浩二君 登壇)
○3番(久保浩二君) こんにちは。3番、日本共産党の久保浩二です。通告に従い、2項目で質問をします。
まず1番目の一人一人が大切にされる教育についてから質問をします。私は、現在の学校教育、特に小学校の現状が子供たちにとっても、先生たちにとっても行き届いた教育を進めるには大変厳しい状況にあると考え、今回質問をし、どのような対策、取り組みが必要なのかについて考えたいと思います。
今までにも教育問題を取り上げてきました。先生の多忙化の問題、子供たちを取り巻く教育環境、統廃合問題、学校選択制などです。今、子供たちの現状を見ますと、国の基準では、1学級40人、和歌山県は38人となっています。団塊の人たちが小学校から中学校のころは1学級55人から50人で、ぎゅうぎゅう詰めの状態、私が小学校から中学校に通っていたころは、45人で教室いっぱいでした。その時代の子供たちは、授業時間の40分、45分は騒がず、机に座り、先生の言葉を聞くことができました。
しかし、今の小学生たちにとって、特に低学年の子供たちはそのことが難しい状況にあります。授業中、集中力が持続せず、歩き回る子供、いつも周りをきょろきょろ見渡す子供、横の子供と授業に関係なく話す子供、先生が注意しても、すぐにできないでいる子供がいることは珍しい光景ではありません。先生が必死に対応しても、1~2年の低学年は学級運営が大変です。1学級30人以上では、担任の先生は特に大変になります。1人でも問題を起こす子供がいれば、担任はその子供にかかりきりになり、ほかの子供たちへの授業の対応ができなくなります。
田辺市の小学校で1学級30人以上の教室が42あります。1~2年生で見ますと、16学級もあります。中学校で29クラスです。教職員の状態について、平成20年12月議会でも、教職員の多忙化について質問しました。そのときと状況は変わっていないと思います。夜遅くまで学校に残って仕事をしていることが常態化し、早く帰る先生は買い物かごのような大きな荷物を抱えて帰宅します。教職員が社会人、家庭人としての当たり前の生活をすることが難しい現実があり、一人一人の心労がふえているのではと感じています。
学校行事を見ますと、先日の
安達幸治議員の質問で、運動会の時期を涼しい時期に変更できないかという質問に教育長が2学期の行事の多さを話していました。運動会の後、10月には郡の陸上大会、音楽会、絵画展、やまなみや年明けの競書会など多くの行事がメジロ押しです。夏休みには水泳大会に向けての特練などもあります。
今の先生は、ほとんど年休、有給休暇もとりませんし、風邪などの病気でもよほど悪くならないと休まないと聞きます。休みたくても休みづらいのが実態です。先生方の転勤の問題を見ますと、学校を変わる周期が以前に比べて短くなっていることも子供たちの関係、学校と地域のかかわりがうまくいきにくいことにつながらないかと気になります。教育長は、学社融合を強く推奨しています。校長と教頭が同時に変わることがことし小中学校で6校ありました。校長、教頭、どちらか1人変わっても、子供との関係、教職員との関係、地域とのかかわりで労力が要るのに、同時に2人変わることは問題があるのではありませんか。
このように学校現場の現状、子供や教職員の現状、学校行事の多さ、校長、教頭を含む先生の異動など、現在の学校の現状が私は一人一人の子供が大切にされる教育になっていないのではと考えていますが、当局の現状認識をお聞きします。
次に、2番、初任者研修について質問します。文部科学省の初任者研修制度は、現在、週10時間以上、年間300時間、年間25日以上とあります。和歌山県の担当である学びの丘の方に聞きますと、校内研修は文科省と同じ年間300時間以上、校外研修は1年目が18日、2年目が4日、3年目が3日、合計3年間で25日となっています。
新任の先生は、小学校ではほとんど担任を持っていますが、その新任教諭が初任者研修で週に2日、3日も担任の教室をあけることがあり、子供たちと先生のきずな、信頼関係が築きにくい状況もあると聞きます。
私は新任の先生が大変苦労していると聞いていますが、教育委員会はこのような新任の先生の実態をどのように把握し、認識しているのか、また月1回以上の校外研修、週に1回から2回の校内研修が本当に必要と考えているのか。新任の教師のサポート、研修であける担任の学級の子供たちのサポート体制はどうなっているのか。十分サポートできていると考えているのか、教育委員会は今の初任者研修が新任の先生の成長を保証する制度であると考えているのか、見解を求めます。
現在、新任の先生の指導、サポートをする制度として、拠点指導教諭が何校かに1名配置されています。その指導教諭は4人の新任教諭を受け持ち、一人一人を週1回指導するため、各校を回っています。数年前までは初任の先生が2人配置された学校に、1人指導する先生がその学校に配置される制度でした。指導の先生は、いつも新任の先生の授業を見たりして、学級や先生の様子を十分把握できる制度であったと思います。なぜ拠点指導教諭の制度に変えたのか、どのようなメリットがあるのか、この制度でどのように改善されたのか、当局の答弁を求めます。
次に3番、臨時的任用職員等の配置について、臨時教職員についてですが、今、公立の小中学校では、9人に1人が非正規の教員となっています。都道府県ではなく、市町村が独自に採用している教員を含めると、さらに非正規率は高くなります。非正規教員の増加の原因は、少人数学級など教育条件を充実する責任を国が地方に丸投げし、06年に成立した行政改革推進法で、正規の教員採用を抑制してきたことにあります。
少人数学級を求める声や教育困難が広がる現場の実態に押されて、01年から40人以下の少人数学級編制が求められるようになりましたが、それは地方が財政負担すればという条件のもとでした。そのため、少人数学級や学校運営、学級運営をスムーズに行うための加配などは自治体持ちになるため、財政の厳しい自治体は必要に迫られても対応ができない状況です。それでなくても教育予算が年々減らされているのが現実です。
臨時教員、講師などは基本的には1年で学校を変わるか、任用が終了します。子供の成長を長いスパンで考えられない仕組みになっています。臨時教員がふえると、1年生のときはどうだった。2年生のときはここが成長した。だから今はこういう指導が必要という話をすることが、教員同士で困難になっています。和歌山県でも、講師のほか臨時教員を週15時間という雇用形態をとっています。1日3時間の週15時間というものです。これでは細切れの対応になり、子供たち一人一人に行き届いたものになりません。
私は、教育に臨時はない。正規職員にすべきだと考えます。田辺市でも、多くの小学校で臨時採用の講師を担任として任用しています。現状の臨時教員に頼らなくてはならない仕組みで、子供たちの将来を保証することができると考えているのか、当局の見解を求めます。
次に、4番目の30人学級の早期実現をについて質問します。
どの子も丁寧に育て、わかる授業を進めるためには、教師の力量も必要でしょう。しかし現実の子供たちの状態を客観的に見ますと、教師の力量だけでは解決しない問題があり、少人数学級が必要だと考えます。学習障害や軽度発達障害を含めて、どの子にも丁寧な教育ができるよう、特別支援学級など抜本的な拡充、少人数学級化などきめ細かな対応が求められます。私は、基本的に30人学級の早期実現が現在抱えているいろいろな問題を解決に向かう道だと考えていますが、当局はどのような対策が必要と考えているのか、見解をお聞きします。
また、担任を持たないフリーの先生の配置が、学校の抱える諸課題の解決にもつながると考えますが、このことも答弁を求めます。
次に、大きい項目の2番、介護保険制度について質問します。
介護保険制度が2000年4月にスタートし、10年がたちます。サービスの受給者、介護費用は増加し続けています。しかし制度の改訂のたびに費用負担がふやされ、利用が制約され、介護報酬が引き下げられ続けてきた結果、政府が当初掲げた介護の社会化とは裏腹に、介護崩壊とも言われる危機的な状況が広がっています。介護保険のスタートは準備不足の中で見切り発車によって利用者、事業所、自治体は大混乱に陥りました。2001年に小泉内閣が発足し、社会保障費の削減が強行され、給付抑制路線になりました。03年制度見直しで、介護報酬はマイナス2.3%の切り下げ、三位一体改革で国庫補助金減額廃止となり、交付金制度に切りかえられ、基盤整備は抑制方向になりました。同居家族がいる場合、生活援助に対する規制強化もされてきました。
05年介護保険法改正、財政の論理優先で、給付抑制と負担増、予防重視という名目での予防給付が創設され、軽度者からの介護取り上げ、施設等の居住費、食費が利用者の自己負担とされ、大幅な負担増になりました。
06年見直しで介護報酬はさらにマイナス2.4%引き下げ、予防給付実施で必要な介護を受けられない軽度の利用者が続出、施設の費用負担が困難になった利用者対処のケースが生じてきました。要介護1以下の福祉用具、介護ベッドなど利用制限が開始されまして、その結果、受給者数が制度施行以来初めて減少しました。一人当たりの介護給付費も前年に比べ大きく落ち込みました。この時期に介護給付費の不正受給という業界最大手のコムスンが事件を起こしています。
09年の見直しで、介護報酬が初めて3%のプラス改訂とされましたが、全体を底上げする改訂とはなりませんでした。認定制度の見直しで一層の軽度判定が進むシステムに変更されました。これが大まかな介護保険制度の10年の流れであります。田辺市の現状と問題点について、田辺市も高齢化の影響で合併以来、要介護認定者は着実にふえています。しかし、要介護認定者は500人余りふえていますが、要介護1以上の認定者は300人ほど減り、要支援が大幅にふえています。これは介護認定の制度見直しが大きく影響していると思われます。
田辺市の介護保険制度でも利用者の実態はサービス利用の抑制が続いています。2009年要介護1の支給限度額に対する一人当たり居住サービス費用額の割合が、54.5%、要介護2が64.4%、要介護3が64.7%、要介護4が68.9%、要介護5が69.4%となっていて、経済的な理由などから限度額から大きく下回っていて、必要なサービスを受けられていないという現実が伺われます。
知り合いのケアマネジャーに聞きますと、利用者や家族、多くの方が限度額より低いケアプランを組むように依頼されるといいます。在宅介護では、老老介護や家族が仕事をやめて、介護をするということも珍しくありません。先日、知り合いの女性が90歳の義理の父の介護のため、仕事をやめざるを得なくなったといっていました。介護をするのが女性という考えがまだまだ強いようです。しかし、男性も必要に迫られて介護をする方がふえています。50代後半の男性が母親の介護で仕事をやめ、60代前半の男性も父親の介護で仕事をやめた話を聞きました。
全国統計を見ますと、家族の介護のために、仕事を継続できず、離職する人が毎年10万人を超えています。仕事をやめての介護は、家族の収入が大きく減る、もしくはなくなり、親の年金が頼りで経済的に大変厳しい状態になります。長期になりますと、介護するほうも精神的に厳しく、介護うつという言葉があるように、大変です。その結果、介護殺人、介護心中は年間50件ほど起こっています。虐待や自殺など、在宅介護は大きな社会問題となっています。
事業所も介護報酬の切り下げや介護認定の見直しで、事業収入が大きく減少し、事業を続けるのが大変だといっています。ヘルパーも仕事のきつさや仕事に見合う収入になっておらず、他の仕事に比べ勤続年数が短く、離職者が多くなります。そのことが常にヘルパー不足の状況につながっています。
介護療養病床の廃止、医療療養病床の削減など、国の政策で介護を必要とする高齢者の施設入所が厳しく、田辺市でも平成22年3月末で待機者が330名、そのうち重度の待機者が130名あります。このような介護の現状、利用者や家族の実態、在宅介護の問題点、介護事業所の実態、施設、医療や老健、特養などの不足で待機者がたくさんいる状況、そのような状況をどのように認識しているのか、答弁を求めます。
次に、2番、安心できる老後について。この問題はまず待機者の解消、在宅介護の充実が大変重要です。安心できる老後への取り組みは、まず高齢者の実態をしっかりと確実に把握することが必要になります。
介護が必要な高齢者が何名いるのか。介護サービスが十分足りているのか。在宅の方は必要なサービスが受けられているのか。介護をしている家族の方の状態はどうか。特養などの待機者解消をどのように取り組むのか、また保険料利用料が高齢者にとって適正なものになっているのか。低所得者などの減免、軽減策が十分なされているのか。介護サービスを提供している事業所が健全に運営されているのか。安心できる老後への取り組みを田辺市として、どのように考えているのか、答弁を求めます。
これで1回目の質問とします。
(3番 久保浩二君 降壇)
○議長(副議長 小川浩樹君) 3番、久保浩二君の質問に対する当局の答弁を求めます。
市長、
真砂充敏君。
(市長
真砂充敏君 登壇)
○市長(
真砂充敏君) 久保議員から2点にわたる御質問をいただきました。2点目の介護保険制度についての田辺市の現状と問題点の基本部分については私から、あとは教育長と担当部長からお答えします。
まず、田辺市の現状と問題点についての御質問でございますが、合併後、市における介護認定と介護保険サービス利用者の状況につきましては、介護リスクの高まる75歳以上の被保険者数が平成22年4月時点で、1万2,001人と合併時に比べ15%増加し、それに伴い介護認定者数が4,679人と14%、介護サービス受給者数につきましても3,925人と18%増加してございます。また、平成21年度の介護給付費につきましては、66億7,760万円と11%増加している状況となっています。
一方、施設サービス受給者は778人で、合併時より5%減少しておりますが、これは国における介護療養病床の再編に伴い、市内の2カ所、合わせて56床の介護療養型医療病床が、医療保険の対象となる療養病床へと転換したことによるものでございます。
ちなみに、この転換に伴い、当該病床を利用されていた利用者については、現在、既に亡くなられた方もおられますが、転換直後にほぼ9割の方が転換後の医療病床へ継続して入院し、2名は介護保険施設へ入所、4名が在宅へ復帰されました。現在、国においては、来年の通常国会に介護療養病床の廃止を停止するための関連法案を提出する考えが示されており、今後の動向について、注視していく必要がありますが、平成22年3月末における田辺市の施設待機者数が329名にものぼることから、施設整備の重要性については、十分に認識しているところでございます。
平成23年度を計画期間とした、わかやま長寿プラン2009においても、田辺、西牟婁保健福祉圏域で特別養護老人ホーム50床、介護老人保健施設114床、これは介護療養病床からの転換分を除いた病床ですが、増床する目標として掲げております。
さらに、田辺市長寿プラン2009におきましても、認知症対応型グループホーム、54床増床することを整備目標としており、施設等への入所待機者の減少に向けて取り組みを進めているところでございます。
このうち、介護老人保健施設については、既に田辺市内への建設が予定されており、また特別養護老人ホームにつきましても市内に建設できるよう、現在県に対し事業者の推薦を行うなど、施設サービス提供基盤の充実に努めているところでございます。
認知症対応型グループホームの整備につきましては、次期計画期間の平成24年度から平成26年度において整備が必要と見込まれる床数を前倒しして整備ができ、かつ事業者にとってより有利な介護基盤の緊急整備特別対策事業が、平成21年度に国から示されたことを受け、今計画期間内で当初整備を予定していた54床に加え、次期計画期間において整備が必要と見込まれる54床、計108床を今計画期間内に整備することといたしました。
このうち、当初計画分の54床につきましては、既に整備が完了し、残りの54床も今年度中に整備される見込みとなってございます。今回の、施設整備を行うことにより、田辺市の施設等への入所者待機数は、軽減されるものと考えておるところでございますが、平成24年度からの次期計画を策定するための実態把握、需要把握の結果、国の動向等を踏まえ、必要な介護サービス提供基盤の整備を進めてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
以上です。
(市長
真砂充敏君 降壇)
○議長(副議長 小川浩樹君)
保健福祉部長、田中 敦君。
(
保健福祉部長 田中 敦君 登壇)
○
保健福祉部長(田中 敦君) 久保議員の御質問の2点目、介護保険制度について、ただいま市長がお答えした以外の御質問について、私からお答えいたします。
まず、在宅介護の充実についてでございますが、介護を必要とする高齢者を在宅で支えるためには、介護保険のみならず、介護保険以外の福祉サービスの充実が必要であるということは、市としても認識いたしております。このため、田辺市では配食サービス等の福祉サービス、地域支援事業等介護保険以外の福祉サービスの充実に努めているところでございます。
家族介護者への支援につきましては、介護技術や介護者の健康づくり、介護相談などを内容といたしました家族介護教室や、認知症高齢者を介護している家族が、外出したときなどに、家族にかわり見守りなどを行う認知症高齢者等見守り支援事業、家族介護用品支給事業等を実施しているところでございます。
また、現在、県への推薦を行っている特別養護老人ホームについては、家族介護者の負担軽減に資することができるよう、需要の多い短期入所事業所を併設し、そのうちの一部につきましては、家族介護者等に不測の事態が発生した場合等、緊急時の対応が可能となるよう、取り組みを行っているところでございます。
次に、利用者の実態把握についてでございますが、これまでも平成18年度に設置した地域包括支援センターが主体となり、在宅介護支援センター、あるいは地域民生委員等との連携により地域における高齢者の実態把握にも努めてきたところでございますが、平成22年度からは中辺路行政局内に地域包括支援センター、中辺路町サブセンターを設置し、旧町村圏域での迅速な対応、より深いかかわりが可能となるよう、その機能を強化したところでございます。
次に、市独自の保険料減免制度についてでございますが、介護保険制度では、負担能力に応じた負担を求めるという観点から、所得段階別の保険料設定が行われてございます。
田辺市では、生活保護を受給されている方及び世帯に市民税が課税された方がなく、老齢福祉年金を受給されている方を第1段階、世帯に市民税が課税された方がなく、生活保護、老齢福祉年金受給者以外の方で、本人の年金収入額と合計所得額が80万円以下の方を第2段階、本人の年金収入額と合計所得額が80万円を超過する方を第3段階、市民税が世帯のだれかに課税されており、本人が市民税非課税の方を第4段階、本人が市民税を課税されており、前年の合計所得金額が200万円未満の方を第5段階、200万円を超過する方を第6段階と設定させていただいております。
保険料につきましては、第4段階を基準額とし、第1段階、第2段階の方につきましては0.5を、第3段階の方につきましては0.75を、第5段階の方につきましては1.25を、第6段階の方につきましては1.5を、また第4段階の方の中でも、前年の合計所得と課税年金収入額の合計が80万円以下の方については、0.83を保険料率として乗じ、保険料を決定するため、基本的には負担能力に応じた保険料であると考えてございます。
しかしながら、どうしても保険料の納付が困難な方もおられるため、田辺市では市独自の減免措置として活用する資産を有さず、第1段階に該当する被保険者のうち、世帯の収入が老齢福祉年金相当額に本人を除く世帯員1人につき、厚生年金配偶者加給年金相当額を加算した額を超えない方につきましては、第1段階保険料額の2分の1を、第2段階に該当する被保険者のうち、世帯の収入が老齢基礎年金相当額に本人を除く世帯員1人につき、厚生年金配偶者加給年金相当額を加算した額を超えない方につきましては、第2段階保険料額の6分の1を、第3段階に該当する被保険者で、世帯の収入額が100万円に本人を除く世帯員1人につき、厚生年金配偶者加給年金相当額を加算した額を超えない方につきましては、第3段階保険料額と第2段階保険料額との差額の2分の1を減額する。田辺市介護保険料の低所得者に対する減免措置実施要綱を制定いたしてございます。この結果、第1号被保険者のうち、約6割の方が基準額を下回る保険料となってございます。
次に、利用料負担が困難なため、利用を抑制している利用者がいるのではないかとの御質問についてでございますが、介護保険の制度における低所得者の対策といたしまして、高額介護サービス費、高額医療合算介護サービス費等がございます。
高額介護サービス費は、第4段階以上の利用者については、世帯で合算し、1カ月間で3万7,200円を、第3段階の利用者については、世帯合算で1カ月間で2万4,600円を、第2段階以下の利用者については、世帯合算で1カ月間で1万5,000円を超過した利用料相当額を給付する制度でございます。
また、高額医療合算介護サービス費につきましては、8月1日から翌年7月31日までの1年間において、介護保険と医療保険、長寿医療の負担金の合計が、所得に応じ、一定の金額を超過した場合に、その超過した自己負担相当額を給付する制度でございます。
例えば、市民税世帯非課税で、本人の年金等の収入額が80万円以下の方の場合には、1年間で19万円を超える自己負担相当額について、高額医療合算介護サービス費の給付として支給されることとなります。
また、介護保険施設入所者及び短期入所施設利用者につきましては、食費、居住費等の減額もございます。食費の減額については、第3段階の利用者では、施設が定める食費基準額、国の基準費用額では、日額1,380円でございますが、これを日額650円に、第2段階の利用者につきましては、日額390円に、第1段階の利用者につきましては、日額300円にそれぞれ減額するものでございます。
居住費の減額につきましては、施設の形態により異なりますが、食費同様第3段階以下の利用者については、施設が定める基準額にかかわらず、減額を行うものであり、最も国の基準費用額の低い多床室、いわゆる大部屋の場合、第3段階及び第2段階の利用者につきましては、日額320円に減額し、第1段階の利用者につきましては、費用負担を免除、もっとも基準費用額の高いユニット型個室においては、第3段階で日額1,640円に、第2段階及び第1段階では日額820円にそれぞれ減額するものでございます。
このほか、みずから介護サービスを提供する社会福祉法人等が本人及び世帯の収入等や資産要件を満たした生活困難者に対し、自己負担及び食費や居住費の25%から50%の軽減を行う社会福祉法人等による生計困難者に対する利用者負担軽減制度もございます。
また、田辺市独自の利用料助成制度といたしまして、世帯収入合計額が老齢福祉年金相当額未満であり、在宅で介護保険の居宅サービスを御利用いただいている方に対して、利用料の全額を助成する田辺市介護保険利用料助成制度もございます。さらに、生活保護受給者については、その利用者負担額相当分について、介護扶助が行われてございます。利用料負担が困難な方につきましては、このようにさまざまな制度がございますが、介護保険施設、認知症対応型共同生活介護施設につきましては、現在国がユニット型個室化を進めていることもあり、居住費の負担が大きく入所ができない方もおられるということは、市といたしましても認識してございます。田辺市といたしましては、この問題は全国に共通した課題であるとも考えており、全国市長会を通じて、国に対し要望を行っているところでございます。
次に、介護従事者の処遇改善につきましては、平成21年度の報酬改正で、介護従事者の処遇改善の名目で、介護報酬が見直され、さらに県から、介護職員の処遇改善に取り組む事業者に対し、介護職員一人当たり月額平均1万5,000円が交付される、介護職員処遇改善交付金により、一定の改善が進んでいるものと考えますが、市といたしましても、人材確保、サービス水準の向上といったことからも介護従事者の処遇改善は、重要であると考えてございます。
しかしながら、一方、介護報酬引き上げにより、保険料が高騰することも懸念されることから、国に対し、介護従事者の定着のための施策の推進とあわせて、処遇改善に係る費用が保険料に影響することのない制度の確立を要望してまいりたいと考えてございます。
次に、老後も安心できる社会とするために、についての御質問でございますが、だれもが幾つになっても安心して暮らすことのできる社会を構築することはだれしもが希求してやまないことであり、そのような社会に少しでも近づくことのできるよう、市といたしましても、合併後の市の基本方針である第1次総合計画において、高齢者が生き生きと暮らせるまちづくりを基本方針の一つとして定めるとともに、田辺市における高齢者の総合計画である田辺市高齢者福祉計画を策定し、計画に基づき、さまざまな事業を実施しているところでございます。
高齢者が安心して暮らすことのできる社会を構築するためには、健康、介護、所得、生きがい対策等多面的な施策の推進が必要であり、市のみならず、国、県、関係機関、ボランティア団体、住民の皆様が一体となって取り組むことが不可欠であると考えてございます。
現在、平成24年度に予定されております介護保険制度の改正に向け、厚生労働省の社会保障審議会において、介護認定、区分支給限度額のあり方、家族介護者支援のための具体的な施策、リハビリ機能の強化のための方法、高齢者のみの世帯、高齢者一人世帯の支援方法等、さまざまな検討が行われているところでございますが、市といたしましても、このような国の動向を踏まえ、平成23年度中に実施する田辺市高齢者福祉計画の見直しの中で、市としてどのような取り組みが可能なのか、また、必要なのかを十分に検討するとともに、必要な事項につきましては、国、県へ要望を行うなど、高齢者が安心して暮らすことのできる社会を構築できるよう、取り組んでまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
(
保健福祉部長 田中 敦君 降壇)
○議長(
宮田政敏君) 教育長、中村久仁生君。
(教育長 中村久仁生君 登壇)
○教育長(中村久仁生君) 議員御質問の一人一人が大切にされる教育についての1点目、現状の認識は、についてお答えいたします。
議員御質問の田辺市内の小中学校の学校行事等の現状についてでありますが、学校行事は、各学校が独自に計画して実施するものであり、一般的に行われております行事といたしましては、1学期には修学旅行、2学期には運動会、体育大会及び文化発表会などがございます。学校行事以外にも、小学校での郡水泳大会、郡陸上競技大会、中学校での部活動の各種大会、郡市音楽会や競書会などさまざまな作品展や発表会が行われてございます。
次に、このような行事や発表会に参加することが教職員を初め、児童生徒にとって過度の負担になっていないかという点についてお答えいたします。
子供たちがさまざまな行事に参加し、多くの友達と協力しながら取り組むことは、子供たちに成就感、達成感を与え、成長させるものだと考えております。また、教職員にとっても、さまざまな取り組みを通して成長する子供たちの姿に、より充実感を感じ、さらに教育に対する情熱がわいてくるものである、このように考えてございます。
しかしながら、近年は作品展や発表会などへの参加依頼が各方面から本当に多数要望がございます。それで、自校の状況に応じて、過度の負担にならない程度に配慮し、選択をしながら取り組むように指導してございます。
次に、年度末の人事異動におきまして、校長、教頭の管理職がともに異動することは学校運営上、課題があるのではないかという点についてでありますが、いわゆる団塊の世代をピークに、近年、多くの管理職が退職してございます。このような状況の中、やむを得ず、校長、教頭、両管理職が同時に異動しなければならなくなった学校では、当該校にかつて勤務した経験や学校事情に詳しい管理職を配置し、安定した学校運営ができるような体制で臨んでございます。
続きまして、2点目の初任者研修についてお答えいたします。
まず、田辺、西牟婁地域での初任者研修の現状についてでありますが、初任者研修については、教育公務員特例法第23条により定められており、全国で同様の研修が行われてございます。しかし、具体的な運用方法につきましては、都道府県教育委員会が行うものであるとされております。他府県とは、多少違いがあるかもしれませんが、和歌山県内では同じ内容の研修が行われてございます。
また、現在の初任者研修のシステムは適切ではないのではないかという点についてでありますが、和歌山県での初任者研修のシステムは本年度より、1年次、2年次、3年次の3年間にわたって実施することになってございます。
1年次では、和歌山県教育センター学びの丘を中心に行う校外研修と拠点校指導員、校内指導員が中心に行う校内研修があり、校内研修では1名の指導教員が4名の新規採用教員を指導する拠点校指導方式が中心となってございます。現在実施しております拠点校指導方式は、経験豊富な教職員が他の公務を全く持たず、初任者の指導に専念できるようなシステムになっており、機能的なシステムであると認識しております。
それに加えて、初任者は勤務校を離れて、研修を受けるのではなく、拠点校指導員が初任者の勤務する学校に出向き指導することになっており、教育現場で指導を受けるという点からも、有効な方法であると考えております。しかし、校外に出て行う校外研修も1年次は年間18日間、2年次、3年次については、4日間程度の校外研修が実施される予定になっており、その場合の補充教員の問題など、さまざまな課題があることも認識してございます。初任者研修実施校に対しましては、校内体制を確立し、充実した研修が実施できるよう指導するとともに、研修方法等に改善が必要である場合は、県教育委員会に対して申し入れをしてまいりたいと考えてございます。
次に、3点目の臨時的任用職員の配置についてでありますが、臨時的任用教員は、市内の小中学校で、58名が任用されてございます。病休、育休、産休、休職の補充については、臨時的任用教員を配置せざるを得ませんが、やむを得ず年度当初から臨時的任用教員が学級担任を持つケースもございます。学級担任は、子供たちと接する中で、子供たちとの信頼関係を築き、よりよい学級集団を築くための中心的役割を担うことが重要であります。議員御指摘のとおり、本来、学級担任は児童生徒を継続的に指導することが大切で、単年度単位の任用である臨時的任用教員ではなく、正式採用の教諭が担当することが望ましいと認識してございます。
以前より、年度末の人事異動の際には、できるだけ正式採用の教員を市内の小中学校に配置できるよう、県教育委員会に対しまして、要望してまいりましたが、今後もより一層強く働きかけをしてまいりたいと考えてございます。
最後に、4点目の30人学級の早期実現をについてお答えいたします。
現在、国の基準では、1学級の定数は40名でありますが、県の少人数学級編制制度により、小学校では1学級38名を超える場合は、少人数学級編制が可能となり、プラス1名の教員が配当されることになっております。また、先月、国から小中学校の少人数学級を段階的に進める公立義務教育諸学校教職員定数改善計画案が公表されました。この計画案が実施されれば、平成23年度からは小学校1年生、2年生は35人学級となり、平成28年度には小中学校の全学級で35人学級、平成29年度からは小学校低学年において30人学級が実現する予定となってございます。
30人学級が実現されれば、一人一人の児童に目が行き届き、さまざまな問題、課題の未然防止につながるとの認識を持ってございます。この国の計画案に先行して、小学校低学年で30人学級を実現しようとすれば、市単独で教員を任用しなければならず、そのためにはさまざまな課題があり、現時点では困難な状況でございます。
今後、特に、低学年で30人を超えるような学級には、学校全体で支援体制を敷くと当時に、何よりも教職員の資質の向上に努め、安定した学級経営、運営ができるよう努めてまいりたいと考えております。加えまして、保護者や地域に不安感を与えないような管理職を中心とした学校全体で信頼される学校づくりを行っていくことが何よりも重要であると認識をしてございます。
次に、小学校へのフリー教員の配置についてでありますが、和歌山県教育委員会の小中学校教員定数配当表によりますと、7学級以上のすべての小学校と6学級で全校児童が150名を超える小学校には、学級担任以外の教員が配置されており、田辺市内では、フリー教員の在籍している小学校は、29校中16校となってございます。配当された教員は、教務主任等として、現職教育の推進や要配慮児童や学級の支援、少人数学級指導、専科指導等、学校全体を見渡した教育活動の推進に当たっております。
また、これ以外の学校につきましては、小規模、複式校がほとんどであり、非常勤講師を配置したり、管理職が学級担任の支援に当たっているという現状がございます。さらに、特別な支援が必要であると判断した場合には、市が単独で雇用しております特別支援教育支援員を配置し、学校の安定化を図ってございます。現在22名の特別支援教育支援員を配置しているところでございます。
議員御指摘のとおり、教育委員会といたしましても、教員配当に余裕があれば、さらに細かく子供に目が行き届き、各教職員がゆとりを持って教育活動に当たることができると認識してございます。しかしながら、全小学校に一律に人員を配置することよりも、各学校の現状と課題にかんがみ、人員の配置が不可欠であると判断される場合に、適切に配置していくことが重要であると認識してございますので、御理解を賜りますようよろしくお願いいたします。
以上です。
(教育長 中村久仁生君 降壇)
○議長(副議長 小川浩樹君) 答弁漏れはありませんか。
3番、久保浩二君。
(3番 久保浩二君 登壇)
○3番(久保浩二君) 答弁をいただきましたので、再質問に入ります。
1番の教育の問題についてですが、行事の問題で、最近はいろんな要望、要請が来ているものについては、過度の負担にならないように各学校でしているということを言われていました。田辺市の場合は、ほかの教育委員会、和歌山県内の他の教育委員会に比べて、昔から水泳大会であったり、陸上大会などもほか、やられていないところもありますので、かなりいい意味で言ったら熱心に頑張っているということなんですが、今のいろいろ先生方の学校の仕事がふえてきた中では、負担になってきているのと違うかなという問題も出てきて、なかなかすぐにそのことをやめるとか、縮小するということは難しいと思うのですが、やはり教育長が言われたように、過度の負担にならないようということは、十分気をつけていただきたいと思います。
今回、この質問をするに当たり、先ほども言ったと思うのですが、各学校、鮎川小学校以外、学校を訪問させてもらって、様子を見せていただいてきました。ちょうど2学期が始まってすぐで、ちょうど運動会の練習を9月の初めは物すごく暑くて、先生方も熱中症を心配して、そういう時期でした。低学年を中心に見せてもらうということで行かせてもらって、ちょうど時間が運動会の練習ということで、授業の様子を見られなかった学校もあったのですが、授業の様子を見させてもらって、一つ気づいたのは、中芳養小学校は1年生がことし12名というクラスになっています。2年生が34名で、物すごく違いがあるのですが、1年生の教室、小さな子供が机を広く広げて、ちょうど暑いということもあって、物すごくゆったりした状態でした。子供たちも1年生にしては、落ちついているなというふうに感じました。
隣の2年生のクラスに行きますと、34名ありますので、やはりざわついた状態も見られましたし、なかなか30数名の子供が一つの教室に入って、授業を受けていくというのは厳しいなというのも見させてもらいました。ほかの学校でも大体30数名ありますと、なかなか先生が1人で対応するというのは厳しい状況だと私は見ました。先生方は一生懸命子供たちと向き合って、授業をやっていましたが、なかなか先ほども言いましたが、1人の先生で30数人の低学年の子供を指導していくということは、本当に大変だなと感じました。
今回、文部科学省が9月15日に問題行動調査というのを発表しました。その中で、暴力行為が過去最多で6万9,013件、小学校では前年に比べ10%ふえて、低年齢化が伺えるとありました。記事の中で、香川大学の教授が小学校では、うまく人間関係が結べないことが暴力につながることがある。子供の内面と家族関係を長期的に支える必要があるとのコメントがありました。
ここにもありますように、子供の内面、家族関係を長期的に支える必要があるということは、1人の先生が30数人の子供を見ている状態では、このことを進めていくことは本当に至難のわざというふうに思います。そういう中で、やはりどうしても低学年のクラスを少人数学級にして、子供の内面までしっかり見られる。家族の状態も把握できる、そういうことが必要ではないかと感じます。
今の子供たち、様子を見ますと、多動や学習障害の傾向の子供が昔に比べてふえたというふうに私自身も感じていますし、いろいろな方に聞きましても、やはりふえていると言います。中にはふえているのではなくて、診断ができるようになったという意見もありますが、やはり集中できないでいる子供がふえているのは確かだと思います。
子供たちをどのように一人一人成長を保障していくのか。低学年の1~2年生のとき、少人数学級で担任の先生が十分目が届き、子供たちの状態をよく把握し、多くかかわっていける、少人数学級でより早く子供たちを落ちついた状態にさせてあげる、そういうことに少人数学級がつながっていくと思います。
低学年のうちで落ちつくことができなければ、そのまま高学年や中学生になっても、問題を引きずることになって、これは私が聞いた多くの先生がそのように言っていました。
以前から、何度も小規模の学校を訪問して授業を見せてもらっていますが、子供たちの様子、その小規模校の子供たちの様子を見て感じることは、どの学校の子供も明るく元気にあいさつをしてくれます。大変落ちついていますし、勉強も集中しているし、勉強のできる子供も多いし、勉強についていきにくい子もほとんどいないということです。一つのクラスを少人数にする、そのことで保護者とのよい関係もつくりやすくなる。今、学校の中で、保護者からのいろいろな要望、意見に物すごく敏感になっているということも聞きます。そういうことを防ぐ上でも、やはりそういう少人数学級にしていくこと、特に低学年を少人数学級にしていくことが、いろいろな学校の問題を解決していくことにつながると思います。
教育長が国の計画をお話ししていただきました。来年度から、小学校の低学年から35人学級にするということで、7年、8年かけて、30人学級につくっていくということが、計画を出されて、来年の通常国会にも出すということになっています。私は、こういうことは大変国の方針として、喜ぶべきことだと考えています。しかし、少人数学級が2017年以降ということですので、やはり私は早期にすることが必要と考えています。教育長は、先ほどの答弁の中で、市独自の予算措置が必要であるため、現時点では難しいと言われました。
私は、お金の問題とか、難しいということですが、やはりこの状態を放置することは一日でも早く解決していかなければならないというふうに考えています。難しいということで、すぐにするのではなくて、やはりどのようにしたら少しでも早く実現できるかということを考えていかなければならないと思います。
その点で、今回難しいということなので、要望というふうにしかならないのですが、その中で一つ再質問なんですが、今、学校の新しく建てかえということが行われた学校、またこれから建てかえということが起こってくるのですが、その時点で、今の段階で建てられた学校というのは、今時点の数字、子供たちの数を見て、将来減っていくということで、今までの38人、40人の教室で計画して、建てられていると思うのですが、この国の方針で実現しますと、教室が足らなくなってくると思うのです。そういうときに、市としてどのようなことを考えていくのか、そのことを一つ再質問します。
次に、初任者研修のことについて質問します。教育長は、今の拠点指導教諭の方法は機能的と言われていました。そして、初任教員のところに出向いて、校内研修をするため負担が少ない。担任の先生の負担が少ないということでしたが、このことで私が聞いた新任の先生や2~3年の先生にお話を聞きますと、今の拠点指導のやり方というのは、週に1回きていただいて、授業の様子を見てもらって、その後指導を受けるという形で、やはり週に1回ではなかなか先生の状態とか、学級の状態を見てもらう。本当にわかってもらうことが難しいと言っていました。やはり以前の初任が2名学校に配置された場合に、1名配置する。そのときよりも今のほうがなかなか十分な指導ができないということが言われていました。
私は、初任研修というのは大変必要だというふうに感じています。教員の力量を上げていくには、やはり研修というのは不可欠でありますし、法律でも重視されています。田辺市の学校でも取り組んでいる教育実践や教育発表は、力量を高めるためになっているという意見も聞きます。新任の教師の学びたいという意欲をかき立てる研修が必要ではないかと考えます。研修における自由や創造性を尊重し、実りあるものにする。また夏休みなどを利用した自主的研修を保証する。子供の現実に即した校内研修会や若手教員の交流など、新任教員に役に立つものに改めるということが必要だと考えます。
現在、行われている内容の初任者研修、年間300時間、校内研修18日もの校外研修、初任者研修として、これだけのものが必要であるのなら、私はその初任の先生を1年間担任につけずに、副担とか、フリーにして、そしてベテランの先生の学級運営や指導方法を学び、そういうことで、今の行われている初任者研修が物すごく多忙やストレスを感じているというふうに多くの若い先生から聞きますし、それを指導する校長先生や上司の先生もはたで見ていて、大変苦労しているというふうに感じておられます。私はそういうことで、今の初任者研修、担任を持ったまま年間300時間、そして18日も学校外に出るという、そういう研修を見直す、もしするのであれば、今言ったように、担任を外して、副担とかフリーにしてする。そういうことが必要だと思います。そのことについて当局の考えをお聞きします。
そしてまた、もしそういうふうに、担任を外すことが難しいというのであれば、校内研修などの時間を大幅に減らすとか、校外研修を見直す、そういうことが必要だと思いますが、そのことをあわせて質問します。
そして、サポート体制、教育長は拠点指導教員の制度がうまくいっているというふうに言いましたが、やはり若い先生はそのように感じていないという声をたくさん聞きます。そして、一つ再質問なんですが、新任の教諭が研修で教室をあける場合に、その先生がサポートしてくれる先生に、その日のカリキュラムをつくって、お願いして、そしてまた学校から帰ってきた後、その報告を受けて、その日に学校でいろいろ問題があったことをそのサポートする先生ではなくて、担任があと対応しなければならないことがあると聞きます。こういうことを本当に、どの学校でもあるのか。この今質問したことが、特別なのか、その辺について当局の答弁を求めます。
次に、介護の問題について再質問します。
制度のことをたくさんいろいろ教えていただいて、認知症のユニット型の施設を前倒しにして108床つくるとか、老健も田辺で計画しているし、特養も建設を目指している、そのようにいって、待機者を減らしていくという取り組みをしている、そして軽減措置も細かくたくさんの6段階に分けてしているということを答弁していただきました。
私の質問で言いました、利用を制限しているというのは、やはりどの要介護の段階でも多くありますので、なかなかこのことを解決するというのは、国の制度を介護給付を大幅に見直すという形にならないと、改善はしていかないと思います。そのことはやはり国に対してしっかり要望をしていただきたいと思います。
今、2009年の統計で、高齢者のいる世帯が2013万世帯あると新聞で出ていました。そのうち、単身世帯、独居老人といわれる世帯が23%、高齢者だけの世帯が30%、合わせて1,000万を超える世帯が高齢者だけの世帯になっています。そして、ひとり住まいの高齢者のアンケートで、親しい友人がいないと答えた方が27%、近所づき合いがないという人が11%とありました。田辺市でも、先ほど市長は75歳以上が1万2,001人と言ったと思うのですが、65歳以上が2万2,478人います。やはり社会で地域で、この高齢者たちを見ていく、そういうことが本当に強く求められる、行政としてしっかり責任を持っていかなければならないと思います。
今、有料老人ホーム、高額な入居費用が必要とする有料老人ホームがここ10年で10倍化しています。その一方、施設に入りたくても入れない方がたくさんいらっしゃいます。費用が高くて、入所さえ希望できない、そういう方があります。
そこで、再質問ですが、田辺市で高額で入所できない、そういう国民年金など低所得の高齢者が入所できる施設が、本当に強く求められています。田辺市として、そういう方々に今後どのように対応していくのか、再質問とします。
以上で、2回目終わります。
(3番 久保浩二君 降壇)
○議長(副議長 小川浩樹君) 3番、久保浩二君の再質問に対する当局の答弁を求めます。
教育長、中村久仁生君。
(教育長 中村久仁生君 登壇)
○教育長(中村久仁生君) 議員から3点にわたる再質問をいただいたと理解します。
まず1点目でありますけれども、校舎建築と学級定数の問題、今後政府の方針によって、学級の定数が先ほども話をさせていただきましたとおり、35名学級、そして30名学級へと移っていくであろう、そういうことを想定しながら、今後の校舎建築ということになりますけれども、公立義務教育諸学校教職員定数改善計画案というのも公表されてございます。その案と今後の学校の新築に向けては、その案の内容に基づいて、学校建築に望んでまいりたい。このように考えております。
それから、2点目でありますけれども、初任の教師は非常に多忙な状況の中で初任研修を行っていると、そういうことへの見直しというか、本当に現在の内容が、研修内容がすべて必要であるのかどうか、すべて必要ということであれば、この初任教員を1年間フリーにして、あとは講師を配置してはどうかということでありますけれども、初任教員を1年間フリーにして、そしてしっかり研修を済ました後、教師にしていくというのは、これは本当にすばらしいことでありますけれども、とてもとても現実的ではございません。
それで、私は現行の研修というのを本当に見直してみたい。私が幾らいきたいといっても、県全体でありますから、みたいと思います。年間18日間の外へ出る研修というのは、できるだけ長期の休暇中に消化するような方法に持っていきたい。これはいきたいと思います。そうして、本当に初任教師が自校で学ぶというのが非常に大事でありますから、そういうことを展開できるような態勢にしてまいりたいと思います。
それから、もう一つは、新任教員が学校をあける前後の扱いですが、学校をあけるときに、次に来てくださる先生にカリキュラムのすべてを作成して、そして1日指導していただいて、そして残った諸問題を帰ってから全部本人が解決をしなければならない。これが全体であるのかどうかという質問であったと思います。私は全体だとは考えておりません。これは後をお引き受けしていただける先生の中には、本当に初任教員をおもんぱかっていただいて、自分みずからこういう形でどうよということで、計画を練ってくださる先生も数多くおられます。
それから、宿題等についても全部その後を引き受けていただいた先生が処置をしてくださる先生もおられるわけであります。ですから、後補充を担当していただく先生方も大変な職務でありますけれども、できるだけそういう行き届く先生方にお願いをしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上であります。
(教育長 中村久仁生君 降壇)
○議長(副議長 小川浩樹君)
保健福祉部長、田中 敦君。
(
保健福祉部長 田中 敦君 登壇)
○
保健福祉部長(田中 敦君) 久保議員から介護保険制度についての再質問をいただきました。負担金が高額で入所できない方にどのような対応をするのかということであったかと思います。先ほど説明させていただきましたように、現状では社会福祉法人の減免、それから高額介護サービス費、食費、ホテルコストの減免といろいろな制度を組み合わせておるのですが、やはり入所できない方がおるというのも十分認識してございます。先ほども答弁したとおり、当然この問題については田辺市だけの問題ではございません。全国共通の問題であると考えておりますので、あらゆる機会を通じて、国に対し要望を行っていきたいと考えております。
以上です。
(
保健福祉部長 田中 敦君 降壇)
○議長(副議長 小川浩樹君) 答弁漏れはありませんか。
3番、久保浩二君。
(3番 久保浩二君 登壇)
○3番(久保浩二君) 教育長は、今の初任研修を見直していけるところは見直してみたいと、年間18日の校外研修は長期休暇中にやりたいという若い先生にとって大変力強い答弁だったと思います。期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
そして、サポート体制も教育長も答弁ありましたように、すべての先生がそういうふうにするということではなくて、そんなに初任の先生がしなくても、きちっと後を見てくれるということを聞いてあるんですが、中にはなかなかそのことをしてもらえる先生がなくて、1人で必死になって初任の研修のこともしなくてはならない。自分の教室のこともやっていかないといけないということで、本当に大変苦労されているという先生もおられます。初任の場合、今1年間見習い的な形で、正式採用でも1年間たって不適格というふうに見られたら、やめさせられるという制度になっていますので、今の初任の先生方は大変精神的に、そういう面でもストレスを感じております。そういう方のために、やはり手厚いサポート体制を教育委員会としても学校としてもつくっていただきたいと思います。
最後に、きのうは敬老の日でした。長年社会に貢献してきた高齢者をたたえ、長寿を祝う敬老の日です。長寿を祝う祝日というのは、世界の中でも日本だけというふうに聞いたんです。しかし、今の日本、長寿を祝い、高齢者を敬うという気持ちが薄れているのではというふうに感じています。ことしはこの議会中もいろいろ出ましたが、猛暑、酷暑で多くの方、多くの高齢者が熱中症で亡くなりました。ここで見えてきた問題は、高齢者の中でも、弱い立場の低所得者などの生活困窮者、高齢者だけの世帯、ひとり住まいなど、本来社会として見守りや支援をしている方々です。それができない社会になって、熱中症などで犠牲になっている。そういう現実が見えてきたように思います。
また、100歳を超える高齢者の所在が確認できない問題でも、行政の不手際はありましたが、地域に住んでいるはずの高齢者のことに無関心であり、家族のきずなや地域のコミュニティが崩壊している現実が浮き彫りになりました。年金詐取が問題になりましたが、全国各地で起こっているということは、1個人、家庭の問題ではなく、社会が病んでいるあらわれであると思います。
日本社会の貧困、心の貧しさは政治の責任です。一人一人を大切にしてこなかった政治の責任です。今、高齢者の問題、大変厳しい現実にあります。やはり国と自治体の責任で長寿を安心して祝える社会にしていかなければなりません。子供たちを取り巻く環境も大変厳しく難しくなっています。ゆとり教育が間違っていたといって、小学校から授業時間をふやす、英語の授業を始める、集中できない落ちつきにくい子供たちに30人以上の学級で無理やり授業を進めるのではなく、少人数学級で教師が一人一人の子供たちにしっかりかかわって、子供たちが自己肯定感を持てて、自分に自信を持つことができ、言葉だけでない本当に他者を思いやる心、しっかり自分で考える力を身につけること、将来に希望が持てて、辛抱ができて、努力を惜しまないような子供を育てていく。このことは教師が元気でなくては成り立ちません。教師がすべて臨時職員ではなく、正職員で子供たちに責任が持てる制度にする教師の多忙さを改善し、教師集団として支え合える環境をつくることも必要です。
私は、日本社会の貧困をただしていく上で、学校教育の果たす役割が大変大きく、重要だということを思っています。少人数学級で、子供たちが本当に一人一人大切にされる、そういう学校になっていくことを願って質問を終わります。
ありがとうございました。
(3番 久保浩二君 降壇)
○議長(副議長 小川浩樹君) 以上で、3番、久保浩二君の
一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(副議長 小川浩樹君) この場合、午後2時40分まで休憩いたします。
なお、再開の際は、議案書の御持参をお願いします。
(午後 2時30分)
―――――――――――――――――――
再 開
○議長(
宮田政敏君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 2時40分)
○議長(
宮田政敏君) 続いて、4番、市橋宗行君の登壇を許可いたします。
(4番 市橋宗行君 登壇)
○4番(市橋宗行君) 皆さん、こんにちは。4番、市橋宗行です。今議会最後の
一般質問となり、梅産業についてのみ幾つか質問させていただきます。
さきの高垣議員さん、宮本議員さんと内容が重なる部分が過分にありますけれども、市民からより多くの声があるという意味で、どうか最後までお聞き届けいただき、また当局の皆様に対しても答弁が重なる部分がありますけれども、どうかよろしくお答えいただきますよう、お願いいたします。
梅産業について、まずは現状の把握と市の取り組みについてお聞きいたします。
去る8月20日付の地元新聞には、記録的猛暑での熱中症や夏ばて対策として、梅関連商品の販売が好調であると報道され、地元梅産業としても売れ行きがよいことは非常にいい知らせであったと思います。昨年は、景気やデフレの影響か、梅干しの在庫は膨れ上がり、そのことで1たる当たりの価格も下落し、農協初め各農家の倉庫には梅干したるの在庫の山が築かれました。
今回の売れ行きにより、その在庫も整理され、今年度産の梅干しも売れていく見通しを立てた農家の方々は多いと思います。また、ことしの収穫量は不作で、通年を大幅に下回り、通常の市場原理であれば、商材が少なくなれば価格は上昇するということもあり、売り始めの価格も持ち直すと思った農家の方は少なくなかったでしょう。
しかし、先日出されました見通し価格では、この不作にもかかわらず、前年を下回った価格が発表されました。梅干し1たる10キログラム入り価格の平均原価というのは、各農家の規模にもよりますが、4,410円と聞いております。この価格には専従者の給与などは含まれていません。ことしの見通し価格で算定すると、各農家が通年どおりの割合で、A級から企画外品すべて出荷した場合の販売予想額は、確実に1たるごとに数百円から1,000円ほど下回り、去年に続き、原価割れは確定してしまいます。
このような赤字経営がまかり通るはずもなく、各農家の対策として、梅干しより値段のいい青梅に出荷が移行するなどした場合、今度は青梅の市場価格に影響を及ぼします。すなわち梅干しの不安定は、青梅の不安定につながるのです。
以上のように、原価割れ等の価格の崩壊は、いずれ梅農家に廃業をもたらし、梅産業全体が衰退の方向をたどることになっていきます。先日みなべ町のうめ課に状況を聞いてまいりました。うめ課では、田辺市の梅振興室と同じように、梅のアピールを主としてイベントでのPRや広報全般を担っていました。その活動は迅速で、例えば当日申し込みの生番組の取材にも、すぐに対応するといっておられました。そのほか、各農家で組織された生産者協議会、梅干し組合、農協、町立研究所、大学、企業とも連携し、町の主産業として上位に位置づけがなされ、活発に活動されていることが伺えました。特に、新聞やニュースで発表されたものとしては、県立医科大学の准教授との取り組みで、新型インフルエンザウイルス抑制効果を証明、またヘリコバクターピロリの運動機能阻害剤、そしてαグリコシダーゼ阻害剤2件の特許取得があり、医学的効能の解明に対する取り組みや各イベントでもその梅の効能アピールに努めています。
そのほか、大手菓子メーカーとのタイアップ商品開発、テレビCMやラジオCMなどが目立っています。町からの予算措置としても、先ほど特許取得2件の研究費だけでも平成13年から16年の間に、2,426万円が支出されています。
そこで、一つ目の質問ですが、今回、田辺市でも梅干し食べようプロジェクトの取り組みがなされていますが、その結果と活用についてはどのように考えているのか、また梅産業の現状をどのように把握しているのかお聞きいたします。
次に、生産者の声について、さきに申し上げましたみなべ町うめ課の話の中で、田辺市と違う取り組みが幾つかありました。その一つとして、生産者、加工業者、農協、行政の4機関が調整しながら意見交換しているという事例についてですが、その中でも特に大変なのが生産農家への意見聴聞だそうです。これを行うときは、各農家が意見を出しやすくするために、大人数にならないようにし、行政側から出向し、要望があれば、地元加工業者や農協を伴っていくようです。
意見聴聞ですから、それぞれの意見統一がなされなかったり、調整が困難であったりすることもあるそうですが、この聴聞をするのとしないのとでは、生産者の決断力や行政との相互の関係性に大きな差が出ると担当職員の方は言われていました。
梅農家の梅を二分すると、梅干し農家と青梅農家とに分けられます。この違いは大きく、市場が青梅を必要としていても、急に梅干し農家が青梅を出荷することはできませんし、またその反対も設備や人材等の都合で困難です。したがって、それぞれの専業部分については、意見や問題点が変わります。
そこで、二つ目の質問ですが、梅生産者からの意見は行政に届いているでしょうか。また、そのような取り組みがなされていないようであれば、今後早期に生産者の声を直接的に聞く場が必要であると考えますが、いかがでしょうか。
三つ目に、市の主幹産業としての方向性についてですが、日本の中でも梅産業全体が充実し、独自産業としての優位性を持っているのは明らかに和歌山県です。現在の全体の売上額だけを見れば、落ち込んできてはいますが、需要に対する供給設備や南高梅が適地であること、またその品質についても依然優位といえます。このことは以前700億円産業と言われた時期、梅が田辺市に外貨をもたらす役割を持ち、その経済が周辺農家から市街に流れ、市民の生活を潤してきました。しかし、いまや中国梅が輸入され、市街地では県外から大型店舗が田辺市に進出し、インターネットの普及で地元商店が圧迫され、市内の経済はどんどん外へ流れている時代です。実際に、経済部分だけでなく、生活の安定や雇用を求める若者が県外へと流出しています。そのうち農家にも跡取りがおらず、農業放棄地が増加することでしょう。今ならまだ取り組みによっては、このような現象に少しでも歯どめをかけられると思います。
今回は梅産業に視点を置き、質問を述べさせていただきましたが、以上のようなことは市内のどの産業にもいえることであって、田辺市の主産業の将来をコーディネートできるのは市長であると思っております。
市長も市としての主要産業に梅産業を認めていらっしゃるなら、その位置づけ、また田辺市独自の今後の取り組みがあれば、お答えいただきたいと思います。
以上、1回目の質問を終わります。
(4番 市橋宗行君 降壇)
○議長(
宮田政敏君) 4番、市橋宗行君の質問に対する当局の答弁を求めます。
市長、
真砂充敏君。
(市長
真砂充敏君 登壇)
○市長(
真砂充敏君) 市橋議員御質問の梅産業について私からお答えいたします。
最初に、昨年からの梅の状況についてでありますが、一昨年来の景気急落による消費不況の影響で、梅干しの消費は過去20年来で最低の水準まで落ち込んでおり、これにより梅干し販売も大きな影響を受け、昨年の販売は過去にない厳しい結果となっております。A級品については、デフレの影響と贈答品需要の低迷で、消費が縮小し、B級以下の低級品についても、消費者の低価格志向による価格競争が激しくなっており、これにより昨年秋以来、原料梅干しが大量在庫となり、ことし3月時点での調査では、130万たるの在庫で、価格相場もA級で4,000円代まで下落したところであります。
しかしながら、3月末の低温被害と今年産の作がらが不作となったことで、4月以降、梅干しの流通が動き出し、在庫は解消に向かいましたが、原料価格は回復せず、農家の平均価格は採算原価を大きく割り込んでおります。
梅干し販売につきましては、ことしになり個人消費がようやく上向きになってきており、また夏の猛暑の影響やマスコミ等での梅の効果に関する報道もあって、低級品を中心として、前年に比べ梅干し販売は回復してきているわけですが、これが一時的で、今後も続くかどうか見通しが不透明なこともあって、原料価格の回復までつながっていないことで、依然生産農家は昨年同様に大変厳しい経営となっております。
このため、市の取り組みといたしましては、昨年来紀州田辺うめ振興協議会を中心に、消費宣伝と販売促進の活動を最重点と位置づけ、全国各地での梅講習会や東京など、大都市での紀州田辺の梅フェアの開催、市場や量販店、食料品メーカー、企業、各種団体等への訪問により梅の宣伝に努めるなどの取り組みにつきまして、若手農家の参加もいただきながら、より拡大をしてきているところであります。
また、紀州うめの会の取り組みとしては、6月6日、梅の日の記念行事の開催や首都圏や地元での梅のPR、梅干しの品質向上対策や特選梅干し認証事業の取り組みなど、紀州梅のブランド向上と消費宣伝活動を行っています。
さらに、今年度、紀州田辺うめ振興協議会の新しい取り組みとして、梅干しを食べようプロジェクトを実施いたしました。このプロジェクトは、地元から毎日梅干しを食べることを実践して、そのよさを実感し、成果を情報発信するという試みでありまして、市内、県外から100名余りの参加をいただき、実践してきたところであります。
体験結果のアンケートを集計したところ、体重や腹囲、体脂肪率が減少した割合が高く、梅干しを食べることで、特に疲労回復や胃腸が好調で快適に過ごせたという人が大変多く、またこの実践で、子供を初め、家族も梅干しを食べるようになったことや、食生活が見直されたこと、体調への気遣いを通して、健康増進が図られたというコメントが多く寄せられています。
こうした結果につきまして、先月開催した協議会において、報告を行い、梅産地の取り組みとして全国のマスコミにも結果を提供するなど、情報発信に努めているところであります。梅の本格的な機能性研究や、医学的効能の研究については、和歌山県、大学、企業の産官学で研究が進められているところでありますが、市といたしましても今回の梅干しプロジェクトのような梅と健康に関しての梅産地ならではの特徴ある取り組みを実践し、全国に向けて情報発信することで、田辺の梅の宣伝に努めてまいりたいと考えております。
次に、生産者の声が届いているのかということでありますが、市の梅関係の組織といたしましては、紀州田辺うめ振興協議会、田辺梅対策協議会、紀州梅の会などがあり、市が事務局となり、その活動の中心的役割を担っております。これらの会には農家組織の役員にも多数委員として御参加をいただき、会議等で梅のさまざまな問題について協議を行っております。それぞれの会の活動の中では、農家の皆さんと一緒に梅の宣伝販売促進活動や調査活動を協同で行ったり、また農家への訪問や地元の会合にも出席するなど、できる限り梅の現状と意見把握に努めているところでありますが、対象は会の農家役員が中心であり、そのほかの幅広い農家との意見交換が十分でなかったところがあります。
今後の梅の需給見通しが不透明なこともあり、農業経営の安定化を考えれば、生産の効率化とコスト削減に努める必要があることは言うまでもありませんが、経営のリスクの分散からすれば、漬け梅だけでなく、青梅収穫や有望な品種の導入、ほかの果樹との複合経営なども検討することも大事と考えます。
梅農家では、これまでの経営の中で、簡単には変えにくいという事情があることは承知していますが、こうした農業経営のあり方を初め、梅の新しい用途開発や販路拡大などについて、幅広い農家からの意見把握ができるよう、さまざまな機会をとらえて行ってまいりたいと考えております。
次に、市としての主産業に梅産業を認めているのか、その位置づけ、田辺市独自の今後の取り組みはどうかということでありますが、梅の生産、加工、販売に係る、いわゆる梅産業は、これまで田辺市のみならず、この地域の経済を支えてきた一番の産業であると考えています。生産にかかる肥料、農薬、農機具などの農業関連業種だけでなく、調味料、容器、タンク製造や印刷、デザイン、広告業、さらには運送業など関連する業種は幅広く、大変すそ野が広い産業であります。このように、地域経済と雇用の面に対する役割も大きいことから、ほかに代えがたい産業であり、周辺町村も含め、今後におきましても産業の中心であり、衰退することがあっては住民の暮らしにも大きな影響を及ぼすものと考えております。
市の農業におきましても、温州ミカンの全国的な価格暴落以降、この地域には梅があったことで、農業経営の継続と農業後継者が確保され、中山間地の不利な条件でありながら、農業のみならず、地域そのものが存続してきたところであります。
今後も、この地域の気候風土を生かし、栽培技術や加工技術を高めながら、全国一の梅を生産することが梅産業の基礎であると考えております。
現在、梅産業はデフレ経済、消費不況の影響と梅消費そのものの成熟化で成長期から停滞期に直面しています。また、消費については、中高年層とヘビーユーザーに偏り、新しい消費者や若い世代への浸透ができていないのが現状であり、今後の梅産業の振興には消費促進と新しい需要の創出が重要と考えています。
日本古来の伝統食品としての原点に返り、梅のよさを認識し、日本型食生活の見直しや食育、米の消費拡大に取り組む団体等の運動に参画し、梅のよさを広める取り組みも大事でありますし、また一方で、現在の食生活に合うような梅の新しい用途開発、市場開発も大事な課題であります。市の独自の取り組みとしては、紀州田辺うめ振興協議会におきまして、全国規模の料理教室等と連携して、食に高い関心のある消費層への梅の宣伝活動や梅の収穫体験等で観光客や修学旅行生の受け入れ、加えて今年度では青梅の販路拡大として、冷凍梅の販売促進、また梅の海外での試験販売などに取り組んでいます。
さらに、市町村の枠を越えた広域の梅関係団体全体での取り組みがますます重要となってきていると考えております。このため、紀州梅の会では、和歌山県とともに、うめ需給販売対策会議を発足させ、需給の安定化を目指し、生産対策、消費拡大対策、販売対策を三つの柱として取り組みを始めたところであります。
生産対策では、青梅出荷の促進、新たな加工技術、新商品の開発、有望品種への転換、消費拡大では、梅需要の開拓と食育の推進、マスコミを通じての全国への情報発信や梅の機能性研究の推進であります。
販売対策では、市場、量販店等での販促PR、海外市場の開拓、食品メーカー等との商品開発、アンテナショップやインターネットでの販売促進活動に取り組みます。また、来月には東京におきまして、紀州うめフォーラム2010を開催し、梅の機能性研究の発表と紀州梅干しの宣伝を大々的に行う計画であります。
このような取り組みを積極的に展開することで、消費の促進と需要創出を目指して、梅産業の活性化に取り組んでまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
以上です。
(市長
真砂充敏君 降壇)
○議長(
宮田政敏君) 答弁漏れはありませんか。
4番、市橋宗行君。
(4番 市橋宗行君 登壇)
○4番(市橋宗行君) それでは、再質問に移りたいと思います。質問は大きく三つに分けていたしましたが、トータル的に質問をさせていただきます。
市長の認識の高さをお伺いいたしました。この地域の一番の産業だということで、市がさまざまな取り組みをなされ、そして今後とも他の梅関係組織とともに、梅のPRに努めていただけることに感謝をいたします。
私が、今回、この質問で知っていただきたいことの一つに、生産者の弱い立場というものがあります。現在日本の農産物の最終消費額、これは74兆円と言われておりますが、そのうち生産者への算出額はわずか9兆円、これは売り手の弱さと生産者へのしわ寄せを露呈したものではないでしょうか。
田辺の梅産業にしても、顕著にあらわれているように感じます。そうしたことから、まずは生産者の立場を理解しているのかということですが、どうしても田辺の生産者の方々はみなべ町を意識し、比較してしまいます。広報や研究に関しても、どうしてもみなべ町が先に出て、例えばピロリ菌とグリコシダーゼの特許2件につきましても、田辺が牽引されているだけに見えてしまいます。
この前の宮本議員さんの質問にもありましたが、ことし6月5日、梅の日を控えた東京大田市場での梅フェアーに私も同行させていただきましたが、市長の梅の効能アピールには、非常に説得力がありました。それだけに今回田辺市の梅干し食べようプロジェクトに関しては、どうしても説得力が弱く見えてなりません。
また、農家からの声をさまざまな機会をとらえてということで、答弁いただきましたが、農家の皆さんは行政とどう向き合っていけばいいのか、どう声を上げればいいのかわかりません。行政側はどうでしょうか。梅生産者の方々は、自分たちの行き場ない声をだれかに聞いてもらい、向かい合っていけるだれかを望んでおります。行政はそこにいるでしょうか。先ほどの生産者の立場が理解されているのか、また農家と行政との向き合い方をお聞きしたいと思います。御答弁よろしくお願いいたします。
(4番 市橋宗行君 降壇)
○議長(
宮田政敏君) 4番、市橋宗行君の再質問に対する当局の答弁を求めます。
産業部長、福井量規君。
(産業部長 福井量規君 登壇)
○産業部長(福井量規君) 市橋議員さんの再質問にお答えいたしたいと思います。
まず梅の振興策について、幅広くの農家の皆さん方の意見を聞き進めるべきとのことであります。先ほど市長からも答弁申し上げましたように、紀州田辺うめ振興協議会では、農家のグループと一緒に東京などの消費地や地元での田辺の梅の宣伝と販売促進活動を行ったり、意見交換をしているところではありますが、協議会の役員や組織だけでなく、より幅広い農家との交流が必要と考えております。
各地域におきまして、活動されている農家のグループの皆様方とできるだけ機会をとらえて、梅の現状や今後の梅の消費拡大や販路対策、新しい用途開発などについて意見交換を進めて、今後の取り組みに生かしてまいりたいと考えておりますので、よろしく御理解を賜りたいと思います。
以上でございます。
(産業部長 福井量規君 降壇)
○議長(
宮田政敏君) 答弁漏れはありませんか。
4番、市橋宗行君。
(4番 市橋宗行君 登壇)
○4番(市橋宗行君) 時間を十分とっておりましたけれども、早くなる分には御了解いただきたいと思います。
御答弁いただきまして、思うことは各組織でいろいろな梅の会議がなされております。私もあるグループにオブザーバーで参加をして、会議に参加して話を聞いたりはしているのですが、ある会議ではなかなか意見が出ずに、何も声がない、しーんとした時間が流れるようなそういう会議も中にはあります。どのように方向性を見出していいのか、考えを述べていいのか、どうしても農家さん同士の間では、なかなかそこから一歩踏み出すというところが難しい面が今は出てきているのかなと感じる部分があります。
そこでやはりどうしても、託すところは行政にお願いしたいという気持ちが正直なところであると思います。農業というのは、おてんとうさま勝負の産業であります。今回の梅関連商品の販売好調もおてんとうさまが契機となり、自然に功を奏したように感じております。中国では、ことしの生産量は半作といわれ、生産意欲の衰退とともに、経費削減から肥料も施肥しない傾向であると言われております。また、中国国内需要もふえ、輸入価格も今までの安い価格では日本に入ってこないとも言われております。しかし、いろんな要因がある中で、その中でも他人任せにすることなく、コンセプトと追求心だけは持ち続けていかなければならないと考えます。
御答弁いただいたように、これからも市は多方面からの取り組みをなされるということですが、まだまだこれから新商品開発への期待と新品種への動きがある中で、可能性の追求の手を緩めずに行っていただきたいと思います。そして、農家への向き合い方も考えていただいて、田辺市のよりよい産業づくりを要望いたしまして、今回の私の質問を終わらせていただきます。
最後まで御静聴、ありがとうございました。
(4番 市橋宗行君 降壇)
○議長(
宮田政敏君) 以上で、4番、市橋宗行君の
一般質問は終了いたしました。
以上をもちまして、
一般質問を終結いたします。
◎日程第2 3定報告第1号
専決処分事項について上程
○議長(
宮田政敏君) 続いて、日程第2 3定報告第1号
専決処分事項についてを上程いたします。
この場合、お諮りいたします。
本件については、会議規則第37条第3項の規定により、委員会の付託を省略し、後日審議いたすことにいたします。これに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(
宮田政敏君) 異議なしと認めます。
よって、3定報告第1号については、委員会の付託を省略し、後日審議願うことに決しました。
◎日程第 3 3定議案第 1号 田辺市
火災予防条例の一部改正についてから
日程第37 3定議案第35号 平成21年度田辺市
水道事業会計決算についてまで一括上程
○議長(
宮田政敏君) 続いて、日程第3 3定議案第1号 田辺市
火災予防条例の一部改正についてから日程第37 3定議案第35号 平成21年度田辺市
水道事業会計決算についてまで、以上35件を一括上程いたします。
ただいま上程いたしました35件は、過日既に当局の説明が終了しておりますので、これより総括質疑に入ります。
質疑はありませんか。
(「なし」の声あり)
○議長(
宮田政敏君) 質疑なしと認めます。
それでは、ただいま議題となっております35件については、会議規則第37条の規定により、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
各常任委員会の付託事件は、配付いたしております議案付託表のとおりであります。
お諮りいたします。
本日の会議はこの辺にとどめ散会し、明9月22日から9月29日までの8日間は休会とし、9月30日午後1時から再開いたします。
これに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(
宮田政敏君) 異議なしと認めます。
よって、さよう決しました。
散 会
○議長(
宮田政敏君) それでは、本日はこれをもって散会いたします。
(午後 3時12分)
地方自治法第123条第2項の規定により署名する。
平成22年9月21日
議 長 宮 田 政 敏
副議長 小 川 浩 樹
議 員 山 口 進
議 員 久 保 隆 一
議 員 天 野 正 一...